2017 Fiscal Year Research-status Report
軽症頭部外傷における器質的損傷と機能的予後予測への血清バイオマーカーの応用
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16K10725
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
末廣 栄一 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (10363110)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 倫保 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (80196873)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 頭部外傷 / バイオマーカー / 凝固線溶障害 / 頭部CT |
Outline of Annual Research Achievements |
当院へ搬送され入院となった頭部外傷の症例21例中10例にて同意を得て、本研究の対象となった。今年度は、頭部単独外傷でなく多発外傷の割合が多く、やや少なめの対象症例数となった。軽症頭部外傷5例、中等症頭部外傷3例、重症頭部外傷2例である。それぞれ、ガイドラインに沿った初期治療ならびに根本治療を行った。それぞれの身体所見、神経学的所見は記録され保存した。中間解析によると、軽症頭部外傷にて意識障害などを認めなくても頭部CTにて異常所見を認める症例では、血液検査にて凝固線溶異常(D-dimerの上昇)を認める所見が得られている。また、cut-off値として1.5μg/mlという値も得ることができた。バイオマーカーの測定に関しては最終年度に施行予定であり、検体を-80℃の冷凍庫に保存している。特にD-dimer上昇の機序の解明として組織因子の測定を考慮している。搬入時の頭部CTの所見は記録ならびに保存され最終年度に検討予定である。(所見なし:4例、外傷性くも膜下出血:3例、急性硬膜下血腫2例、脳挫傷:1例)10例中3例にて受傷後6か月に高次脳機能検査を行った。受傷後早期での高次脳機能検査の施行は、本年度も困難であった。バッテリーは、前年度と変わらずWAIS-III, WMS, FABを行った。結果はVIQにて全例平均範囲以下であった。PIQでは2例が平均範囲以下であった。FIQにて全例平均範囲以下であった。WMS-Rでは、全例平均範囲以下であった。FABでは1例が平均範囲以下という結果であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の主な研究計画は頭部外傷症例の臨床的、血液学的、そして放射線学的所見の蓄積であった。平成29年度は、多発外傷の割合が多く、やや対象症例が少なかったものの想定範囲以内の症例数であった。また、中間解析では軽症頭部外傷において血液学的所見と放射線学的所見の間にて相関関係を認め有意義な結果を認めている。平成29年度の研究の進捗状況はおおむね順調といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点では研究の進捗状況はおおむね順調である。平成30年度は本研究の最終年度となるため蓄積してきたデータの解析作業に入る。良好な結果、結論に結び付けられるように努めたい。
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Research Products
(8 results)