2017 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリアKATPチャンネルを介した虚血耐性現象のメカニズム
Project/Area Number |
16K10735
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
中川 一郎 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (20550825)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | postconditioning / パッチクランプ法 / NMDA受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は虚血耐性現象(Ischemic pre-/post- conditioning )に ミトコンドリアKATP チャンネルの活性化が関与していることを電気生理学的に報告してきた。しかし本チャンネル活性化が虚血耐性を獲得するより詳細は機序は不明である。申請者はミトコンドリア局在KATPチャンネルの活性化によってミトコンドリアからのCa2+が放出され、これが細胞膜のNMDA受容体反応を低減させ、このことがEPSCの低下をもたらし、虚血耐性を獲得するという仮説を元に、虚血耐性現象を臨床応用臨床応用に展開するための基盤研究として本研究ではより詳細な機序の解明を行う。まず、4-8週齢のC57BLマウスを用い、海馬スライス標本を作製する。ホールセルパッチクランプ法を用いてspontaneous EPSC(sEPSC) 、NMDA受容体電流、細胞内Ca2+濃度を測定した。結果としてPost-conditioning, ミトコンドリア局在KATP 開口薬によりNMDA受容体電流は、コントロール群と比較して有意に抑制された。また、Post-conditioning, ミトコンドリア局在KATP 開口薬投与により細胞内Ca2+濃度上昇はコントロール群と比較して有意に抑制された。さらに細胞外Ca2+をfreeにするとPost-conditioning, ミトコンドリア局在KATP 開口薬により再灌流時の細胞内Ca2+の増加は抑制された。よってPost-conditioning, ミトコンドリア局在KATP 開口薬による細胞内カルシウム濃度の上昇が抑制されるのは主に細胞外からのNMDAを介したCa2+の流入抑制であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験はおおむね順調に進んでいる。細胞内Ca2+濃度の計測も大きなトラブルなく進んでいる。現在のところ仮説を指示する結果が得られており、平成30年度において実験を佳境へと進めていきます。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの結果からPost-conditioningによって細胞内カルシウム濃度の上昇が抑制されるのは主に細胞外からのNMDAを介したCa2+の流入抑制であることが示された。平成30年度においてははミトコンドリアPTP開口薬、阻害薬によりNMDA受容体電流や細胞内Ca2+濃度変化がどの様に修飾されるか、さらにはミトコンドリアの緩やかな脱分極がPost-conditioningの重要な役割を演じることを実験から証明する。これによりPost-conditioning現象の詳細な機序の解明につながる。
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Causes of Carryover |
平成29年度の研究進行状況から4,090円の次年度使用額が残った。平成30年度に必要な物品の購入に使用する予定です。
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Research Products
(2 results)