2017 Fiscal Year Research-status Report
神経膠腫のトランスクリプトーム解析を基盤としたバイオマーカー・分子標的創薬研究
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16K10766
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
早野 あづさ 京都府立医科大学, 医学研究科, 博士研究員 (10379018)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池中 一裕 生理学研究所, 分子細胞生理研究領域, 教授 (00144527)
山中 龍也 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (20323991)
川口 淳 佐賀大学, 医学部, 教授 (60389319)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高速シーケンサー / トランスクリプトーム解析 / 神経膠腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
高速シークエンス技術の進歩により、がんを含めたヒトゲノムの大量解読が実現可能となり、これまで明らかにされていなかった新しいがん関連遺伝子の発見やがんゲノムの詳細な理解が進んでいる。がんにおける体細胞突然変異には様々なものが知られており、点突然変異・染色体コピー数変化(遺伝子増幅や欠失)・染色体再構成(転座など)といったものがあげられる。最近、肺がんにおいてEML4-ALK fusion, KIF5B-RET fusionなどの染色体再構成による融合遺伝子の存在が明らかにされ、それらのキナーゼ活性を抑制する分子標的薬の開発が進められている。また、長鎖非コードRNA(lncRNAs)・短鎖非コードRNA(small ncRNA)などと細胞分化やがんとの関連が徐々に明らかにされ注目されている。 神経膠腫の高速シーケンサーによる遺伝子解析は、エクソーム解析が主体であるため、トランスクリプトーム(RNA-Seq)解析はそれほど行われていないという現状がある。神経膠腫における再構成遺伝子の報告に関してはEGFR, BRAF, neurotrophin receptor genes などに限られるが、さらに多くの種類があるものと推察される。また近年、非コードRNAに関しては短鎖miRNAの知見が集積しており、がん組織や血清中のmiRNAを用いた診断法の探索の報告もみられる。神経膠腫の腫瘍組織を高速シーケンサーを用いてトランスクリプトーム解析を行い、神経膠腫で特異的に発現している融合遺伝子やlncRNA・small ncRNA・miRNAを含む非コードRNAなどの新規転写産物の同定および既知の転写産物の定量を進行中である。神経膠腫のサブタイプ別、初発・再発別等の疾患特異的なマーカーを探索し、それらの分子を標的とする新たな診断技術・分子標的療法の開発を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初発と再発神経膠腫腫瘍組織各50例、低悪性度神経膠腫・希突起膠細胞腫・上衣腫・膠芽腫などの病理組織学的サブタイプ各20例、神経膠芽腫のサブクラス各20例の腫瘍組織からRNAの抽出を行い、高速シーケンサーを用いたトランスクリプトーム(RNA-Seq) 解析を進め、シーケンスで得られた配列情報から染色体再構成の検討、既知あるいは未知のlncRNA・small ncRNA・miRNAの定量、新規のRNAの探索を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
高速シーケンス解析で得られた配列情報からの染色体再構成の検討、既知あるいは未知のlncRNA・small ncRNA・miRNAの定量、新規のRNAの探索をさらに進める。また、通常のコードRNAに関する定量情報も得られるが、これはすでに終了しているマイクロアレイのデータと比較を行う。Test set 100例のシーケンスデータから特に神経膠腫に高発現しているもの、あるいは患者予後と相関するものをRandom Survival Forest model を用いて探索する。さらに validation set 100例からRNAを抽出し、遺伝子再構成分子・lncRNA・small ncRNA の確認をPCR 法にて行う。得られた融合遺伝子に対する、分子標的創薬を進める。特に有望なリード化合物が取得された場合は、臨床応用を目指して安全性の検討、本格的に薬剤として用いるための誘導体開発を行う。
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Causes of Carryover |
(理由) 当該年度に購入予定であった消耗品について、研究の進捗状況から次年度に購入するほうがよいと判断したため。 (使用計画) 今年度の消耗品購入費として使用する。
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[Journal Article] Programmed Cell Death Ligand 1 Expression in Primary Central Nervous System Lymphomas: A Clinicopathological Study.2017
Author(s)
Hayano A, Komohara Y, Takashima Y, Takeya H, Homma J, Fukai J, Iwadate Y, Kajiwara K, Ishizawa S, Hondoh H, Yamanaka R.
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Journal Title
Anticancer Research
Volume: 37
Pages: 5655~5666
Peer Reviewed / Open Access
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