2016 Fiscal Year Research-status Report
ハイドロゲル電極を用いた長期植込み型生体モニタリングシステムの開発
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16K10780
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
岩崎 真樹 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 病院, 部長 (00420018)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 敦寛 東北大学, 医学系研究科, 講師 (10447162)
長峯 邦明 山形大学, 大学院理工学研究科, 准教授 (00551540)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Hydrogel / Electrode / Neurosurgery / Neurophysiology / Monitoring / Deep brain stimulation / Epilepsy |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はハイドロゲル電極の最適化を目的に研究を行なった。40%のpoly(3,4-ethylenedioxythiophene) (PEDOT) と60%のpolyurethane (PU)で構成されたハイドロゲル電極を作成し、物理的な負荷を与えた状態、および生理的水分の存在下で電気伝導性が保たれることを確認した。また、3Dプリンタを用いて作成した脳の実形状モデルにて、脳表および脳溝内にハイドロゲル電極を挿入し、ハイドロゲルの膨張による脳への加圧が正常脳圧内に保たれることを確認した。同様に、脳表に留置および脳内に刺入したハイドロゲル電極を抜去する際に生じる摩擦係数が十分に小さく、脳実質に与える損傷が最小限であることを示した。これら、デバイスの基礎的検討結果については、英語原著論文としてまとめて投稿し、審査中である(Swelling Hydrogel-Based Electrode for Soft, Stable Contact with Tissues and Organs. Kuniaki Nagamine, et al, 2017)。 これまでの成果をもとに臨床使用が想定される電極をデザインし、ヒトの切除予定脳を対象にした性能試験を計画する。また、長期留置の安全性を確認する動物実験を並行して行う。 本研究は、長期に信号が劣化しない新しい留置型脳電極の開発へと繋がり、てんかんや脳深部刺激療法(DBS)などの治療応用のほか、BMIなどの研究に、広い活用が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床使用を想定した形状のハイドロゲル電極を作成し、その基本的な物理特性を明らかにした。電極としての特性や、膨張や摩擦による脳実質への影響は十分に小さく、臨床試験が十分に可能であると考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究でハイドロゲル電極に用いる素材は、既に長期留置による生体安全性が報告されていることから、切除予定脳を対象としてヒトでの急性期実験を予定する。これについて、現在倫理委員会の審査中である。また、研究分担施設では動物を用いた長期留置実験を開始し、電極特性と組織学的影響を明らかにする。
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Causes of Carryover |
ハイドロゲル電極の試作が想定されたよりも少ない作成数で研究が遂行できたために、主に物品費に余剰額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に予定しているヒトの急性期実験において、対象症例数10を目指しており、比較対照となる頭蓋内電極の購入費用とゲル電極制作費に使用する予定である。
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