2016 Fiscal Year Research-status Report
ヒト嗅粘膜組織由来神経前駆細胞による脊髄損傷治療法の開発
Project/Area Number |
16K10785
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大西 諭一郎 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (00533811)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩月 幸一 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (80346204)
鷹羽 良平 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (70774686)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 嗅粘膜組織 / オルファクトリースフィア細胞 / 脊髄損傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はこれまでにヒトとげっ歯類嗅粘膜組織より、無血清培地下で遺伝子工学的・細胞工学的手法を用いずにオリゴデンドロサイト前駆細胞マーカーを発現する細胞集塊(オルファクトリースフィア:OS)の作成に成功した。げっ歯類OS細胞はオリゴデンドロサイトに分化し、バルプロ酸でGABAニューロンに分化誘導された。一方、ヒトOS細胞はin vitroで自律的にニューロンへの分化することが明らかになった。移植された幹細胞は宿主環境に応じてその機能や分化運命を大きく変化させる。本研究では、安全で効果的なヒトOS細胞移植の為に、正常脊髄と損傷脊髄における生着(生存)・分化(運命)を明らかにする。 申請者らは臨床研究「ヒト嗅粘膜組織由来オルファクトリースフィア細胞の樹立」に則り、同意の得られた先進医療『自家嗅粘膜移植による脊髄再生治療』を施行する患者から採取した、移植に使用しない、本来廃棄予定の残余嗅粘膜を用いる。また臨床研究「副鼻腔手術における切除嗅粘膜組織からのヒトオルファクトリースフィア細胞の樹立」より本来廃棄予定の残余嗅粘膜を用いる。ヒトOS細胞は同意の得られた患者の嗅粘膜用いて、われわれが特許申請した浮遊培養法にてヒトOSの樹立を行う。 H28年度は、①ヒトOS細胞のマウス正常脊髄における生存分化の検討を行うため、①-1ヒトOS細胞の正常脊髄への移植、①-2ヒトOS細胞を移植した正常脊髄組織学的評価と①-3下肢運動機能の行動学的評価を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
H28年度は、先進医療『自家嗅粘膜移植による脊髄再生治療』の実施症例が1例であり、その際の余剰嗅粘膜組織がなかったことから、ヒトOS細胞の作成ができなかった。一方、臨床研究『副鼻腔手術における切除嗅粘膜組織からのヒトオルファクトリースフィア細胞の樹立』に則り、本来廃棄予定の残余嗅粘膜組織を使用して、ヒトOS細胞の作成を試みたが、残余組織が少なかったため、その後の実験に使用できる十分な細胞を得ることができなかった。以上のように、嗅粘膜組織を得るために予定していた手術実績が思うように重ねられなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は2例の先進医療『自家嗅粘膜移植による脊髄再生治療』の実施を見込んでおり、余剰嗅粘膜組織を得る機会も増えると考えている。
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Causes of Carryover |
予定していた臨床研究の症例数を積み重ねられなかったことに起因する実験の遅れが原因で、翌年に予算が持ち越された。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に予定している臨床研究の症例を積み重ねることで、前年度達成できなかった実験を行うために、使用する。
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Research Products
(11 results)