2017 Fiscal Year Research-status Report
磁気刺激介入による失語症治療法確立を目的とした臨床的研究
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16K10791
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
時村 洋 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (50227568)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
衛藤 誠二 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 講師 (70295244)
花谷 亮典 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 講師 (60304424)
大吉 達樹 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 講師 (80315407)
有田 和徳 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (90212646)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 磁気刺激 / 失語症 / リハビリテーション / fMRI / WAB / 優位半球 / 劣位半球 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳卒中(脳出血、脳梗塞)により失語症を発症した患者を対象とした。これまでに対象とした症例は全例優位側大脳半球(左大脳半球)に病変が存在している。術前評価として、MRIによる病変の同定、fMRIによる言語中枢の局在、Western Aphasia Battery (WAB)による失語症の評価を行った。治療法としては、経頭蓋磁気刺激を、第一背側骨間筋の安静時運動誘発閾値の90%強度で刺激した。優位側大脳半球に対しては5Hz, 10秒間、計500発の高頻度刺激、劣位側大脳半球に対しては1Hz, 20分間、計1200発の低頻度刺激を用いて、Broadmannの脳機能地図に基づく言語野を刺激した。この言語野を正確に刺激するためにneuro-navigation systemを用いた。これらを5日間/週の2週間刺激し、同時に集中的言語療法を行った。治療前後で、fMRI、失語症の評価を行い比較した。治療前後のWABによる評価を比較すると、語の想起、呼称が改善した。また優位半球刺激と劣位半球刺激を比較すると後者の刺激、即ち、言語中枢の反対側中枢の機能を抑制する刺激が有効であると考えられた。またfMRIの結果は、優位半球の言語機能の残存、また劣位半球上の対応する大脳皮質の機能を示したが、この結果により刺激法を選択すると有効な治療ができると考えられた。即ち、優位半球言語中枢の機能が残存している場合は優位半球賦活刺激治療、劣位半球の機能が亢進している場合は、劣位半球の抑制刺激治療が有効であると考えられた。これらの結果をもとに、治療群を、1.優位半球刺激(+)、劣位半球刺激(+)、2.優位半球刺激(+)、劣位半球刺激(-)、3.優位半球刺激(-)、劣位半球刺激(+)、4.優位半球刺激(-)、劣位半球刺激(-)、の4群に分け、現在二重盲検試験が進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
患者群を1.優位大脳半球刺激+言語療法、2.劣位大脳半球刺激+言語療法、3.優位側大脳半球刺激+劣位大脳半球刺激+言語療法の3群に分け(それぞれシャム刺激併用)、患者のエントリーを行っている状況である。これらのデータは集まっていないが、1Hzの劣位大脳半球刺激で失語症改善効果を認めており、また優位側大脳半球刺激も効果を認めている。同時にManchester大学における言語治療の研修も受け最新の磁気刺激法、画像評価法を習得している。患者3群のデータ取得終了により、結果より最も有効な失語症治療の基準が明らかにできると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の治療研究を継続すると同時に、fMRIの結果に基づく治療方法の選択も検討している。これらの結果は2019年2月に3rd International Brain Stimulation Conferenceにおいて発表予定である。
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