2016 Fiscal Year Research-status Report
術中皮質脳波におけるセボフルラン濃度切替・高周波振動はてんかん焦点を推定可能か
Project/Area Number |
16K10797
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
田村 健太郎 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (00423913)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 術中皮質脳波記録 / セボフルラン / 高周波振動 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度までに施行した難治性てんかんに対する焦点切除術のために慢性頭蓋内脳波記録および術中皮質脳波記録(セボフルラン0.5MAC10分間,1.5MAC10分間)を,high sampling周波数で記録できた症例は11例.内訳は内側側頭葉てんかん1例,外側側頭葉てんかん3例,前頭葉てんかん5例,後頭葉てんかん2例で,それぞれの症例において,慢性頭蓋内脳波記録によっててんかん発作起始域を同定した.術前に同定したてんかん発作起始域との関連,またセボフルラン濃度を変更した際のHFO出現部位,周波数の変化を確認している.これまで解析ができた症例から ①限局性皮質形成異常およびてんかん原性を持つ脳腫瘍の症例(計3例)で,病変に接する電極から発作起始域が記録できた場合,慢性頭蓋内脳波記録で得たてんかん発作起始域と,術中皮質脳波記録中1.5MACの濃度において出現するHFOが一致する傾向があった.0.5MACではHFO自体出現しない症例があった.またripple(80-200Hz)がほとんどで,fast ripple(250-600Hz) は出現しない症例が多かった. ②MRI陰性の症例では,慢性頭蓋内脳波記録で得たてんかん発作期始域に,術中皮質脳波記録中,HFOが出現しない症例が多く一定の傾向がなかった. これらのことから,てんかん原性領域を示している可能性が高いてんかん原性病変近傍から出現する術中皮質脳波上のrippleは,慢性頭蓋内脳波記録における発作期始域を推定できるかもしれない.しかし,MRI陰性の症例ではそもそも慢性頭蓋内脳波記録における発作起始域は,てんかん原性領域を推定できていない可能性があり,術中皮質脳波でもそれを推定することは難しい可能性がある.これらは少数のデータから得られた仮説であり,今後症例を増加させて解析を行う必要がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
症例数は順調に増加しているが,解析ができていない症例がある.またMRI陰性の症例では,一定の傾向がでず,解析対象から外すことを検討中である.
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Strategy for Future Research Activity |
現在の症例数を維持して,解析対象を増加させる.MRI陰性の症例では,そもそも慢性頭蓋内脳波記録で発作起始域がてんかん原性領域を推定できていない可能性があり,解析対象から外す必要があるかもしれない.てんかん原性領域を推定できていると考えられるてんかん原性病変とくに限局性皮質形成異常,てんかん原性をもつ良性脳腫瘍のみを解析対象にしたほうがより有意義な結果がでる可能性があるかもしれない.その場合は対象症例が絞られるため,研究期間内に有意な結果が出ない可能性がある.
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Causes of Carryover |
現在高周波振動は視察的に診断していて,客観性にかけるためより正確にデータを解析するために,現在あらたに高周波振動を解析するソフトを発注している.28年度の助成金280万円で足らず,29年度の助成金と併せて使用するため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度および29年度の助成金を合わせて高周波振動解析ソフトウェアの購入にあてる.
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