2016 Fiscal Year Research-status Report
視覚応答を利用したコミュニケーション支援BMIの開発
Project/Area Number |
16K10801
|
Research Institution | Tokyo Health Care University |
Principal Investigator |
松尾 健 東京医療保健大学, 医療保健学部, 講師 (10733941)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川合 謙介 自治医科大学, 医学部, 教授 (70260924)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | BMI / 視覚認知 / 皮質脳波 / デコーディング |
Outline of Annual Research Achievements |
Brain Machine Interface(BMI)は失われた身体機能を補完する一手段として注目されており、運動麻痺などを補助する運動支援型BMIでは一部実用化も果たしている。一方、コミュニケーション支援型BMIの開発は開発途上であり、早期の実用化が望まれている。本研究ではもっとも応用の効くコミュニケーションツールとして文字をピックアップした。文字を想起した時の脳活動から文字そのものをダイレクトに復号化することが難しいことは予備実験でわかったため、文字と物体イメージを関連づけ、イメージを想起した時の脳活動から文字を表出する手法を採用した。平成28年度は、視覚刺激(物体イメージ)の作成及び最適化、電極留置患者における計測及び計測データの解析を行った。視覚刺激として5つの物体イメージを採択し、各物体イメージに25のexamplerを用意した。次に、実際にてんかんの焦点診断目的に頭蓋内電極を留置した患者において、まずは実際に視覚刺激を見たとき、すなわち視覚認知時の脳活動から、脳活動の符号化を行った。物体イメージ特異的な脳活動は主に高ガンマ帯域に符号化されていることが確認された。今後、物体イメージ想起時の脳活動の符号化を行い、実際に物体イメージを視認した時との差異を同定するとともに、視認時、想起時の脳活動から、物体イメージが復号化できるかどうかの検証を進めていく。デコーダーには従来から使用しているsupport vector machine(SVM)を用い、最良の復号化率を得るための入力ベクトル(特徴量)の最適化を測る。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
視覚刺激(提示画像)の作成やシステム構成、計測環境などは滞りなく完了し計測を開始している。29年度と合わせて10例を目標としていたが、本研究に適した部位に頭蓋内電極を入れるてんかん患者の症例数が少なかったこと、電極留置手術実施施設の変更があったことにより症例数が伸び悩み、現在までに計測した症例は2例にとどまっている。データ解析に関しては、実際に視認した時の皮質活動はきちんと符号化できており、現在は「想像している時の脳活動」の可視化にに加え、脳活動の復号化に取り掛かっているが、現時点では復号化率は有意水準前後である。「想像」の場合、画像提示のようなはっきりとしたオンセットがないため、事象関連電位として捉えにくいこと、実際の視覚情報がないため活動電位が低いことなどが原因と考えている。繰り返し回数を増やす、入力ベクトルに工夫を加えるなどを試していく予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在、症例数が2例であり、目標とする症例数となるよう、協力患者を募るとともに、データ解析、特に復号化の解析を進めていく。具体的には、次患者からは視覚刺激提示回数、物体イメージの想起回数を増やし、加算データのS/Nをあげていくとともに、デコーダーへの入力ベクトルの最適化を図る。事象関連電位のように注目時間幅を限定せず、あらゆる時間幅、時間帯を網羅的に用いてデコーディングに必要な特徴量を作成し、画像もしくは想像したイメージに特異的な応答のみを選択的に抽出する次元削減法を採用し、効率的な脳活動デコーディング法を形成する。また、復号化に特に有効な脳部位を抽出し、その部位の脳活動から作成した入力ベクトルに重み付けをするなどの工夫も追加する予定である。
|
Causes of Carryover |
本年度に研究対象となる患者が少なかったことに加え、電極留置症例の開頭範囲が狭く、保険診療内で使用可能な電極数までしか留置できなかったことから、研究費を使用して電極を購入する必要がなかったため支出が少なかった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
最も頻繁に行われる両側側頭葉への電極留置では一患者あたり40-80極の研究用電極を使用する。平成29年度は平成28年度以上の適用症例数を見込んでおり、前年度の繰り越し分も含め、頭蓋内電極の購入費に多くを費やす予定である。
|