2017 Fiscal Year Research-status Report
脳神経外科手術への応用を目指した新規ＡＲ型３次元画像診断法の開発
| Project/Area Number |
16K10802
|
|---|
| Research Institution | Osaka Medical College |
|---|
Principal Investigator |
田村 陽史 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (90247859)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川端 信司 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (20340549)
平松 亮 大阪医科大学, 医学部, 講師 (40609707)
古瀬 元雅 大阪医科大学, 医学部, 講師 (70340560)
池田 直廉 大阪医科大学, 医学部, 講師 (50434775)
板宮 朋基 愛知工科大学, 工学部, 准教授(移行) (60583896)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
| Keywords | 神経画像診断学 / 脳外科手術機器 / 拡張現実 / ３次元診断画像 / 手術支援 / 画像誘導下診療 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
研究期間内の新規ＡＲ型３次元画像診断法完成を目指し、本申請課題の研究計画はおもに３つの課題を同時に行ってきた。「3次元AR（拡張現実）画像の観察および卓上モデル・術野への投影と手術支援」として、3次元画像による手術シミュレーションと手術用顕微鏡のリンクに加え、神経内視鏡手術とナビゲーションシステムを組み合わせた術野投影型のAR支援手術の可能性につき検討を継続した。術前のシミュレーションおよび体位設定の段階にもこれを用いて、卓上モデルや術野への投影方法につき検証を試みた。手術の際により最適となる体位・頭位の設定、術野の展開方法等の情報を収集し、実臨床への可能性を探索し、試作システムのバージョンアップに反映させた。同時進行として今年度も、個人の携帯端末レベルで観察可能なアプリケーションを用い、若手術者の教育ツールとしての有用性を評価すべく、その評価方法や評価項目の抽出を行った。
「3次元シミュレーション画像から患者個別実体モデルの作成」として、3Dプリントモデルを作成し、これに対する映像投影と精度の検証、有用性の検討を行った。「AR技術を用いた端末レベルでの3 次元画像の作成と配布・検証」としては、
術前に取得される疾患・患者シミュレーション画像をもとに作成した3次元モデルデータと、マーカーを用いた位置情報取得用の端末内臓カメラを通じて拡張された空間画像の重ね合わせを実現し、ウィンドウズMR等の技術を用いる仮想空間（VR）での観察・シミュレーションに加え、任意の方向性からその3次元情報、隠れた部分に存在する解剖学的構造の把握や距離感、展開される内部の透過・透視による直感的な操作が可能な手術支援画像の作製を目的に、有用なデバイスとしてシースルー・単独起動型のホロレンズを使用することとし、それに対応したアプリケーションを完成させ、検証の段階にある。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
術前の診断時に取得した診療画像（MRI、CT等）から作成した３D画像を手術ナビゲーションにリンクさせ、術野に2次元で投影するナビゲーションシステム標準機能を用いたAR画像の、術者教育のツールとしての有用性を昨年度に引き続き検討を継続した。加えて本年度に新規に開発した、術野投影アプリケーションを備えたシースルーデバイスによる３D実体モデルへの投影による術前シミュレーションの有用性につき検討するため、評価方法等の抽出にかかわる試用を行った。本システムは術野の理解に非常に有用であり、本研究で計画した新規AR型画像診断の有用性と今後の拡張性が確認できた。また、本年度より新規に適用を拡大した内視鏡手術時の術野画像にシミュレーション画像をシースルー表示し、AR型の内視鏡手術の実現可能性につき検討を加えているが、内視鏡手術でAR技術を快適に使用するには、顕微鏡下手術に加えて術野カメラの位置情報の認識が加わるため、より煩雑となる。今年度の試作システムは通常では不要な手技となる手元の内視鏡を認識するために視点を移す必要があることから、本来の内視鏡手術手技であるモニター方向の視点のまま手術器具、特に内視鏡の位置の検出と精度の向上を模索していく。
|
| Strategy for Future Research Activity |
カメラ内蔵のタブレット型端末もしくは位置情報の取得可能なセンサーカメラやシースルーカメラ、ヘッドマウントディスプレイに投影できるよう試作したアプリケーションを使用し、実際の手術を疑似体験可能なAR型手術支援画像診断法として評価していく。３Dプリント実体モデルとの対比を継続し、抽出された各々の利点欠点を整理したうえで、両者の利点を兼ね備え、欠点を克服できるよう改良を加える。
本年度は専門家との連携を強化したことで、空間座標上への３D画像表示と患者・患部との位置合わせ（レジストレーション）機能を持たせることが可能となり、作成したプロトタイプの動作が確認できている。開発ソフトウェアのバージョンアップがあり、それに合わせて本システムのバージョンアップと、本年度問題とした動作性能の向上が期待されている。導入したシースルーデバイスは、複数台の接続・連携を可能とし、術者・助手が同時に観察する利点を模索する。本年度に、導入したシースルー型デバイスは、内視鏡下支援脳外科手術への有用性が確認できており、AR画像を用いた手術支援・融合画像誘導下手技の可能性につき検証していく。
|
| Causes of Carryover |
本領域の開発ソフトウェアおよび機器のバージョンアップが目覚ましく、それに対応可能とするため次年度使用額が生じさせる必要があった。これにより本研究の完成度は飛躍的に向上する。
現状機器でも研究計画の進捗はおおむね順調といえ、研究期間内のシステム完成と評価を実施し、成果報告できる見込みである。
|
