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2016 Fiscal Year Research-status Report

ヒト先天性脊柱側弯症における発症機序の解明と遺伝子診断法の確立

Research Project

Project/Area Number 16K10809
Research InstitutionGunma University

Principal Investigator

飯塚 伯  群馬大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (90334119)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 下川 哲昭  高崎健康福祉大学, 健康福祉学部, 教授 (90235680)
Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
Keywords先天性側弯症 / Ishibashi rat / 遺伝子診断
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、先天性脊柱後側弯症モデル動物 (Ishibashi rat: IS)を用いて骨形成および形態形成関連遺伝子の発現動態と脊椎の構造異常との関係性を胎生初期から発症まで詳細に検討し、どの遺伝子がどの時期に発現低下する/過剰となることによって脊柱側弯が生じるのかを明らかにすることにある。現在、ISにおける奇形椎の発生時期を組織学的に検討するために、胎生期の軟骨形成が終了する胎生12日を目安にその前後数日での胎仔を採取し、脊椎標本を作製後、HE染色、アリザリンレッド・アルシャンブルー染色を行っている。また、奇形椎の発生時期に合わせて椎骨よりmRNA・タンパク質を抽出し、先行研究でのDNA microarray解析で発現低下を認めたTrk(神経成長因子受容体)遺伝子群、レチノール代謝に関する遺伝子群を中心にRT-PCR、Western blottingなど遺伝子、タンパク質レベルでの解析を進めている。これらの解析結果により奇形椎を生じる原因となる候補遺伝子を同定し、脊椎側弯症患者の脊椎試料における解析により最終的にヒト先天性脊柱側弯症の原因遺伝子を特定し、脊柱側弯症の早期遺伝子診断法の確立を目指す。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

平成29年4月現在において脊柱側弯症患者の脊椎試料の確保が出来ずにヒトでの解析は開始できていない。群馬大学附属病院や県内外の整形外科病院にヒト脊椎の試料の提供を呼び掛けているが、当院の平年の手術数が0-1例程度のため未だ試料を確保できていない。今後は広域に提供を呼び掛けていく所存である。一方モデル動物の解析としてはこれまでの先行研究においてISの組織学的検討として、腰仙椎部における胎生期の一次骨化中心の異常を報告した。さらに遺伝子発現解析としては腰仙椎部におけるHox遺伝子群の発現異常を同定し、またDNA microarrayによる網羅的な遺伝子解析結果からISの腰椎部におけるTrk遺伝子群の発現低下を報告した。平成28年度からは、ISの腰椎におけるレチノール代謝系に関しての遺伝子発現解析を行い、レチノール代謝の際に働く酵素(Adh1, Aldh1a2)や下流の代謝産物であるレチノイン酸の核内受容体(Rara)の遺伝子発現の低下とISのレチノール血中濃度が高値であることを同定した。これらの結果から、ISにおいてはレチノールの利用障害、すなわち代謝障害により代謝経路がダウンレギュレーションされ、体節形成障害による分節異常から奇形椎が生じ脊柱側弯を呈している可能性が示唆された。これらの知見から、レチノール代謝系の遺伝子群においては、経路の下流に位置し生理機能活性を示すレチノイン酸や、その核内受容体群の遺伝子発現異常が奇形椎の発生、先天性脊柱側弯症の発症に特に重要であると考え、レチノイン酸やその核内受容体の選択的アゴニストを、ISの脊椎からの器官培養細胞や、ISの妊娠母体に投与することによる薬理的影響を検証する実験が進行中である。

Strategy for Future Research Activity

現在進行中のISに関する研究を引き続き行っていくとともに、先天性脊柱側弯症患者の脊椎試料が確保出来次第その解析を開始する予定である。また、microRNA(miRNA)発現に関する解析を行う予定である。miRNAは複数のmRNA配列に部分相補的に結合し、mRNAの翻訳反応を物理的に阻害することで、様々な遺伝子発現を抑制し、細胞の発生、分化、増殖、細胞死などの基本的な生命現象の調節に関わっていることが知られている。胎生期において羊水は絶えず胎児と物質を交換しており、胎児の成長に重要な役割を担っているため、羊水中のmiRNA発現に着目し解析を行い側弯進行に関わるターゲット遺伝子を同定することで、胎生期における奇形椎発生のメカニズムを解明する手掛かりを探索する予定である。

Causes of Carryover

研究を遂行する上で、金額的に残金に適当な薬品や実験器具がなかった。

Expenditure Plan for Carryover Budget

本年度の給付予定の研究費を含めて、適切に研究材料や薬品に使用していきたい。

  • Research Products

    (3 results)

All 2017 2016

All Presentation (3 results)

  • [Presentation] 先天性脊柱側弯症ラットの腰椎における遺伝子発現の網羅的解析2017

    • Author(s)
      下川哲昭、竹淵優真、石綿翔、園田裕之、飯塚伯、鯉淵典之
    • Organizer
      第94回日本生理学会大会
    • Place of Presentation
      アクトシティ浜松 静岡県浜松市
    • Year and Date
      2017-03-28 – 2017-03-30
  • [Presentation] レチノール代謝系は先天性脊柱側弯症の発症に関与する-モデルラットの腰椎における遺伝子発現解析-2016

    • Author(s)
      園田裕之、角田大介、石綿翔、三枝徳栄、飯塚陽一、角田陽平、飯塚伯
    • Organizer
      第50回日本側彎症学会 2016年11月17日~19日
    • Place of Presentation
      国立京都国際会館 京都府京都市
    • Year and Date
      2016-11-07 – 2016-11-09
  • [Presentation] 先天性脊柱側弯症とレチノール代謝系の関連-モデルラットの腰椎における遺伝子発現解析から-2016

    • Author(s)
      園田裕之、飯塚伯、飯塚陽一、三枝徳栄、角田大介、高岸憲二
    • Organizer
      第45回日本脊椎脊髄病学会学術集会
    • Place of Presentation
      幕張メッセ国際会議場 千葉県千葉市
    • Year and Date
      2016-04-14 – 2016-04-16

URL: 

Published: 2018-01-16  

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