2016 Fiscal Year Research-status Report
先端接着技術と神経幹細胞を併用した脊髄損傷の新たな治療法開発への挑戦
Project/Area Number |
16K10822
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
杉本 佳久 岡山大学, 大学病院, 助教 (80423309)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 敏文 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (40294459)
松川 昭博 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (90264283)
塩崎 泰之 岡山大学, 大学病院, 医員 (00596041)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 脊髄損傷 / 神経幹細胞 / 成長因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
脊髄損傷後の特殊な環境において薬剤、細胞、生体材料を組み合わせた治療は未だ確立されていない。本研究の目的は,ペプチド進化分子工学など理化学研究所の先端材料・技術と神経幹細胞を併用することにより,損傷脊髄の再生につながる新たな治療法を開発することである。 肝細胞増殖因子(HGF)は神経栄養因子の一つであり,脊髄損傷治療において有望な成長因子である。我々は,HGFの抗炎症作用に着目し,脊髄損傷急性期におけるHGFの有用性について明らかにしてきた。今回,進化分子工学の手法を用いてHGFにコラーゲン結合因子を組み込んだ改変成長因子(CBD-HGF)を作製した。CBD-HGFは組織表面に固定され,その場に留まり長期間に渡って情報伝達系を活性化するため,質的に異なる刺激をもたらす。これらの成果を、神経幹細胞の移植と組み合わせれば現状よりさらに進んだ脊髄再生治療が期待できる。 平成28年度は、リボソーム・ディスプレイを形成させ、ターゲット分子やターゲット基材を加え,ターゲットに結合するものだけを回収、取り出したmRNAを用いてターゲットに結合するペプチド配列をコードするDNA配列が得られ,これを繰り返すことでCBD-HGFを作成した。マウス胎児大脳皮質より神経幹細胞を採取し,培養した。分化させた細胞が,神経細胞,オリゴデンドロサイト、アストロサイトへそれぞれ分化することを免疫染色にて確認した。 平成29年度以降は、マウス脊髄圧迫損傷モデルを用いて、神経幹細胞とCBD-HGFを用いた局所療法の有効性を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、様々なペプチド配列をもつリボソーム複合体を調製し,その中からターゲット基材や分子に結合するペプチド配列を見つけ出し、成長因子にランダム配列をつなげたDNA鋳型からの転写反応でmRNAを作製し,無細胞翻訳系でリボソーム・ディスプレイを形成させ、ターゲット分子やターゲット基材を加え,ターゲットに結合するものだけを回収し,その後,EDTAを加えてリボソーム複合体を解離させ,mRNAだけを取り出した。取り出したmRNAを逆転写後PCR増幅する。この一連の操作でターゲットに結合するペプチド配列をコードするDNA配列が得られ,これを繰り返すことでより結合性の高いペプチド配列へ収束させた。これによりCBD-HGFを作成した。マウス胎児大脳皮質より神経幹細胞を採取し,培養した。分化させた細胞が,神経細胞,オリゴデンドロサイト、アストロサイトへそれぞれ分化することを免疫染色にて確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、マウス脊髄圧迫損傷モデルを用いて本法の局所療法の有効性を検討する予定である。血管クリップを使用して,第9胸髄レベルの圧迫損傷モデルを作製する。損傷後,CBD-HGFを損傷部に注射投与する。損傷後1週で損傷部にCBD-HGFを混ぜた神経幹細胞を移植する。比較対照として神経幹細胞のみ,CBD-HGF投与のみ,PBS投与を行う。損傷後6週まで経時的な後肢運動機能評価を行い,脊髄採取後に組織学的評価を行う予定である。
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Causes of Carryover |
H28年度にマウス胎児大脳皮質より神経幹細胞を採取、培養し、組織学的評価を行った。実験計画が順調に進んだため、培養試薬購入費用が計画より少なかった。今後の計画である、「マウス脊髄圧迫損傷モデルにおける神経幹細胞とCBD-HGFを用いた局所療法の有効性の検討」のため、神経幹細胞のストックの作成のための培養試薬購入分を次年度使用額とするため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
マウス胎児大脳皮質より神経幹細胞を採取、培養予定であり、移植に使用する十分な細胞をストックする予定である。今後は、マウス脊髄圧迫損傷モデルを用いて本法の局所療法の有効性を検討する予定である。血管クリップを使用して,第9胸髄レベルの圧迫損傷モデルを作製する。損傷後,CBD-HGFを損傷部に注射投与する。損傷後1週で損傷部にCBD-HGFを混ぜた神経幹細胞を移植する。比較対照として神経幹細胞のみ,CBD-HGF投与のみ,PBS投与を行う。損傷後6週まで経時的な後肢運動機能評価を行い,脊髄採取後に組織学的評価を行う予定である。
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