2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K10851
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
安藤 隆 山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (10377492)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 良弘 日本大学, 医学部, 研究員 (80206549)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | プラズマ活性化培養液 / 骨肉腫 / 細胞死 / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
1. プラズマは気体を構成する分子の一部または全体が陽イオンと電子に電離した状態を指し、個体・液体・気体に並ぶ、物質の第4の存在状態である。自作した大気圧LFプラズマジェット装置をマスフローコントローラーによるガス流量の制御が可能となるように改良し、安定したcold PLASMA溶液の作成を可能にした。 2. 骨肉腫は腫瘍細胞が類骨あるいは骨を直接生産する悪性非上皮性腫瘍と定義され、血行性遠隔転移をきたしやすく予後不良である。40年前には5年生存率は10-15%にすぎなかったが、手術療法の進歩、系統的化学療法の導入によって70%以上の生存率となっている。しかしながら、最近10年の生存率の緩やかな伸びと現行の化学療法薬剤の強い副作用が問題となっている。さらなる生存率の改善と副作用の少ない薬剤の開発のために上記cold PLASMA溶液を使用し、骨肉腫細胞の細胞死を誘導できるかを研究した。このcold PLASMA溶液は、TRAIL耐性のメラノーマ、骨肉腫および神経芽細胞腫細胞を用量依存的に死滅させることを示した。その一方で、cold PLASMA溶液は骨芽細胞に対しての毒性は低いものであった。悪性細胞への細胞死のメカニズムとしては、原形質膜脱分極の誘導および小胞体ミトコンドリアのCa2 +ホメオスタシスを解除させることを見出した(Tokunaga et al, Int J Oncol. 2018 Mar;52(3):697-708.)。これらの知見は、TRAIL耐性の悪性腫瘍に対する治療のための新規アプローチとなりうると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プラズマ活性化培養液の生成方法の改良と安定化は順調に行えている。 当初の計画であった、正常骨芽細胞への毒性がみられない濃度での骨肉腫細胞への細胞死の誘導を示すことができた。また、このことを論文として発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
1、骨肉腫への細胞死誘導は成功した。この分子メカニズムの一端はミトコンドリアの膜変化によるものであることを見出している。このことについても今後さらなる解析を進め、論文化する予定である。 2、In vitroのみでなく、骨肉腫担癌モデルマウスを使用したIn vivoの実験を行っていく予定である。
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