2016 Fiscal Year Research-status Report
糖化および酸化ストレス抑制による肩腱板変性断裂の予防
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16K10859
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
美舩 泰 神戸大学, 医学部附属病院, 特定助教 (80608464)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
国分 毅 神戸大学, 医学部附属病院, 学術研究員 (40403266)
乾 淳幸 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (70457092)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 糖化最終生成物 / 反復性低血糖モデル / 糖尿病モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、まずAGEsと腱板脆弱性の関係性をより明らかにするために、AGEsを増強することで腱板の脆弱化促進につながるか否かを実験する。AGEs沈着増強には高血糖状態であればよいので、糖尿病ラットモデルを作製することとした。AGEs沈着を抑制する薬剤としては、アミノグアニジン投与を行ったが、安定したモデル作成が困難であったので、今回は糖尿病モデルの相反モデルとして反復性低血糖ラットモデルを用いた。SDラットに対してインスリンを3日おきに5週間投与し、インスリン投与前、インスリン投与後30分、1時間、2時間と血糖を測定し、低血糖が起きていることを確認する。5週間投与後に腱板組を採取し、免疫組織学的にAGEs沈着量およびAGEs受容体(RAGE)発現量を定量し、同月齢のSDラットの腱板組織の結果と比較し、低AGEsラットモデルの完成を確認することとした。 まずストレプトゾシン投与による糖尿病ラットモデルを作成したが、作成できるモデルの血糖値や生命予後が不安定であったので、糖尿病ラットを購入し使用した。糖尿病モデルの相反モデルとして反復性低血糖ラットモデルを作成し、インスリン投与前、インスリン投与後30分、1時間、2時間と血糖を測定したところ、投与後30分、1時間、1時間半の時点ではコントロールぐんと比べて有意に低血糖が起きていることを確認した。高血糖モデルでは、常に血糖値が300以上と、常態的な高血糖が確認された。 モデルが確立されたので、各々から腱板組織を採集し、凍結切片を作成して、免疫染色により糖化最終生成物(Advanced Glycation End products; AGEs)とその受容体であるRAGE(Receptor for AGEs)の発現について評価し、各モデルにおいて比較検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、高血糖および低血糖モデルの完成と評価が目標であったので、途中、低血糖モデルの作成方法に予定変更もあったが、最終的には無事にモデルも完成したので、おおむね順調に進行しているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
AGEs/ROS発現増強/抑制モデルが確立されれば、肩腱板組織を採取し、AGEs沈着量、RAGE発現量、ROS発現量、細胞老化マーカーである老化関連βガラクトシダーゼ(senescence associated beta-galactosidase; SABG)の発現を免疫染色およびPCR法にて確認する。また炎症反応のマーカーとして、トランスフォーミング増殖因子β1(TGF-beta1)と単球走化性蛋白質-1(monocytechemotactic protein-1; MCP-1)の発現量も免疫染色およびPCR法にて検討する。オイルレッドO染色およびPPARγの遺伝子発現量をPCRにて測定し、脂肪変性度合についても検討する。さらにAGEs/ROS発現増強/抑制モデルから腱板組織を上腕骨への付着部を含めて採取して引っ張り試験を行い(n=10肩)、同年齢の通常ラット腱板組織との腱板強度を比較する。
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Causes of Carryover |
今年度は、まだ成果報告まで研究が進まず、研究・調査のための学会参加にとどまったことと、生物学的評価に使用する薬剤や抗体の一部が、当学内において共通に使用できるものが一部含まれており、そちらも少し利用することができたためと考える。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は動物実験がメインとなってくるので、実験動物購入ならびにその飼育費、生物学的評価のための薬剤や抗体などに使用する予定である。
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