2017 Fiscal Year Research-status Report
上肢切断へのNerve-Machine Interfaceに基づいた筋電義手開発
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16K10875
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
高木 岳彦 東海大学, 医学部, 講師 (00348682)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 筋電義手 / 上肢切断 / 神経移行術 / リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
従来前腕部に設置していたモータをより近位の肘部に持ってきたことで重量負担を軽減させた。さらに全体の総重量を900gにおさえた6動作(手指屈伸、前腕回内外、肘屈伸)行える上腕電動義手を開発し[機械側の改良(筋電義手の開発)]、この義手操作を円滑に進めるために、神経移行術、いわゆるTMR (Targeted muscle reinnervation:標的筋再神経分布,Kuiken TA, et al, Lancet 2007)の改良法を施行し、もともと手指屈伸など末梢筋を支配していた神経断端を残存筋に移行させることにより、移行された神経によって筋を動かし信号を得ることでより直感的に義手を操作できるようにした [人側の改良(神経移行術の施行)]。 上記神経移行術後被験者に対し6動作識別可能か確認するため、移行先の筋の針筋電図、表面筋電図、pick and place test (卓上に置かれた日用品を義手で把持して移動し、離すという動作を30秒間繰り返す、Hoshigawa S et al, Conf Proc IEEE Eng Med Biol Soc 2015)、患者立脚型評価であるDASH scoreによる臨床評価を施行したところ、針筋電図では術後6ヵ月の時点で6動作の筋電信号が各筋線維で確認された(図1)。昨年の検討で6動作という多動作の対応には表面電極は湿式8極が適していることを述べたが、時系列の詳細な解析を行ったところ術前平均識別率が58.3%であったものが、術後6ヵ月で85.5%、術後2年の最終経過観察時で96.7%とほぼ1対1対応が可能となった。リハビリテーション訓練の効果と神経支配が進んだ影響と考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
工学系研究者、リハビリテーション科医師、義肢装具士との連携もとれ、概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
神経支配が進んでも効率よい義手操作を可能にするためにはリハビリテーションが不可欠である。義手操作に慣れない被験者に対して筋電義手AR(augmented reality、拡張現実)シミュレータの開発を検討する。これは筋電義手を装着し、ヘッドマウントディスプレイにカメラ画像と仮想ハンドを提示し提示し現実空間に仮想の任意の義手を表示し、仮想物体との物理的なインタラクションが可能なデバイスを用いることでより親しみのわく義手を開発し、ユーザビリティの向上を図る。 また、日常汎用品としての義手開発を進めるにあたり、現在筋電計測に用いている湿式電極では装着の度に各電極を貼り付けなければならないが、その手間を省くため予め乾式電極を義手ソケットに内蔵するかはめ込む形が理想である。これまで適切な乾式電極がなかったが、生体信号計測用ゴム電極を用いて、柔軟で薄い非侵襲生体信号多点計測センサを開発する。
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