2016 Fiscal Year Research-status Report
羊膜由来細胞外基質コートPLGA担体の生物学的活性効果の検証と軟骨再生治療の応用
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16K10895
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
野上 真紀子 富山大学, 附属病院, 助教 (30750202)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 軟骨再生 / 羊膜 / 生体材料 / 細胞外マトリックス |
Outline of Annual Research Achievements |
羊膜由来細胞外基質が炎症環境に与える影響を調べるために、羊膜由来細胞外基質をコートした培養皿で平面培養を行ったヒト滑膜由来線維芽細胞のIL-1β刺激に対する反応を観察する実験を行った。細胞外基質をコートしていない培養皿に比べて、基質をコートした培養皿ではより高濃度の炎症性サイトカインの分泌(IL-6,IL-8)が認められた。この結果はIL-1β刺激の有無とは関係がなく、細胞外基質に対する線維芽細胞接着における反応であると考えられた。同様に基質をコートした培養皿ではMMP-1, 3, 13,ADAMTS-4といった軟骨分解に関わる酵素の遺伝子発現が亢進した。 3次元担体であるPLGAに羊膜由来細胞外基質をコートして作製した軟骨修復用生体材料であるECM-PLGAにヒト滑膜由来間葉系幹細胞を播種し、IL-1βを添加した軟骨分化培地による分化培養を行った。21日間の培養を行ったものの軟骨組織様の組織の形成は得られなかった。定量的RT-PCRによる遺伝子発現解析を行ったが、IL-1βの添加による軟骨分化マーカーの発現抑制はECM-PLGA上で培養を行っても回復しなかった。これまでに得られた結果は当初予想していた羊膜由来細胞外基質の抗炎症効果とは相反するものである。一方で羊膜由来細胞外マトリックスの新たな生物活性を示唆するものである可能性があり、実験系に更なる改良・工夫を加えて、解析を進める必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト滑膜由来細胞の採取・樹立方法や、実験方法・材料の捨取選択、炎症性サイトカインの培養液への添加や上清中の濃度の測定方法などについて条件検討などを行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
新たな培養形態を用いて、羊膜細胞外基質の炎症性サイトカインに対する反応を観察する。同時に、ブロック状以外の形態でのECM-PLGAの培養方法の構築を行う。さらに、ECM-PLGAの持つ細胞遊走誘導能について検討を行なう。
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Causes of Carryover |
研究室に以前からストックのある消耗品で、実験に使用する消耗品の大部分をまかなえたので、予定より使用額が少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H28年度に実施できなかった動物実験や、他形態でのECM-PLGAの培養方法構築を中心に、動物購入費や実験器具・試薬に使用してく予定である。
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