2017 Fiscal Year Research-status Report
質量分析による軟骨基質構成分子網羅的解析の変性疾患、再生医学への応用
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16K10903
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
土屋 美加子 島根大学, 医学部, 教授 (90188582)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | グリコサミノグリカン / コラーゲン |
Outline of Annual Research Achievements |
軟骨組織の主要構成成分としてタンパク質であるコラーゲンに加えて、コンドロイチン硫酸、などのグリコサミノグリカンがあり、コラーゲンは末端部で架橋を作ることで互いに結合してグリコサミノグリカンを緊縛している。一方エラスチンは黄色靭帯に特徴的に多くふくまれるたんぱく質であるがコラーゲンとは異なった架橋を形成する。本研究は、加齢による運動器変性疾患における軟骨組織構成成分変化を質量分析法によって網羅的かつ定量的に詳細に検討することで疾患の病態生理解明と新規治療・予防法開発に資することが目的である。例えば黄色靭帯肥厚の原因となりうる軟骨化生の有無をグリコサミノグリカンの網羅的解析に加えてコラーゲンとエラスチンの量的変動を調べることによって評価できる可能性がある。 平成29年度は、前年度確立したコラーゲンの架橋部から生ずるピリジノリンとその誘導体、エラスチンの架橋部から得られるデスモシンとその誘導体を質量分析で定量する架橋解析法を、軟骨、血管、皮膚などコラーゲンとエラスチンが異なった割合で含まれる生体組織の解析に適用し、従来報告されているコラーゲン、エラスチンの含量に見合った結果を得たことで、この方法が生体組織の解析に応用できることを示した。またこの方法をラット関節軟骨に応用して発生過程におけるコラーゲン架橋の変化を明らかにした。これらはいずれも学会報告している。現在この方法を肥厚黄色靭帯の解析に応用中である。またこのような解析を行うための熱安定性プロテアーゼを用いた生体組織の完全可溶化法を論文として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肥厚黄色靭帯及びラット発生過程の正常軟骨からのグリコサミノグリカンの網羅的解析に加えてコラーゲンとエラスチンの架橋解析を再現性に注意しつつ継続中である。
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Strategy for Future Research Activity |
運動器の変性性疾患として対象を肥厚黄色靭帯に絞って、軟骨再生との関連ではラット発生過程の正常軟骨を対象に、グリコサミノグリカンの網羅的解析に加えてコラーゲン及びエラスチンの架橋解析を行う。
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Causes of Carryover |
研究に必要な試薬、消耗品が前年度までに購入したものでまかなえた。旅費の航空券を正規料金ではない「早割」で購入できた。予定していたバイトをお願いすることがなかった。 今年度設定した条件で、次年度は実サンプルを大量に測定する予定であるため、試薬、消耗品費として使用する予定である。
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Research Products
(7 results)