2016 Fiscal Year Research-status Report
大腿骨頭壊死症における骨頭圧潰予防を目指した病態解析
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16K10906
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
本村 悟朗 九州大学, 大学病院, 助教 (50529857)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 大腿骨頭壊死 / 骨頭圧潰 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、大腿骨頭壊死に対する生理的修復反応の結果生じた分界部の骨硬化性変化が骨頭圧潰(陥没)に重要であるという観点の元、まず圧潰前骨頭における骨頭全体の応力分布と分界部外側端における修復反応との関連を、3次元有限要素法による応力解析を行った。Stage1ではCTで壊死境界部に硬化像は認めず、有限要素解析では軟骨直下の応力分布に明らかな変化を認めなかった。一方、Stage2ではCTで壊死境界部に硬化性変化を認め、有限要素解析で同部位の軟骨直下に応力分布を認めた。以上より、圧潰前骨頭において硬化性変化を有する境界部に応力が集中することが圧潰を引き起こす可能性が示唆された。本研究結果は、米国整形外科基礎学会で発表し、現在英文論文作成中である。 圧潰には骨頭外側の壊死境界部の位置が重要であることが言われており、外側にあれば高率に圧潰することが事実認められる。一方、やや内側に壊死境界部がある場合には、圧潰するものもあればしないものもあり、外側境界部の位置のみが圧潰を規定しているわけではないことが示唆されていた。我々は、圧潰前にMRIを撮影している症例のその後を検討し、骨頭前方の壊死境界部の位置によって圧潰率に差があることをはじめて見出した。これは圧潰のメカニズムを解明する上でも非常に重要な知見であり、現在英文論文投稿中である。 圧潰後の大腿骨頭壊死症に対して行われる大腿骨頭前方回転骨切り術では、前方に移動した圧潰部の圧潰進行がその成績を左右することが分かっているが、その要因は十分には解明されていなかった。我々は、手術時の圧潰の程度がその後の圧潰進行にもっとも重要な影響を及ぼすことを見出した。本研究結果をまとめた論文はフランス整形外科学会の機関誌であるOrthopaedics & Traumatology: Surgery & Researchに掲載された(2016)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々が提唱している骨頭圧潰メカニズムの仮説に基づいた結果が得られており、米国の整形外科基礎学会にも採択・発表し、英文論文作成中である。また、圧潰に関する重要な知見を発見し、こちらも英文論文作成中である。実臨床では、圧潰後の治療がメインとなるが、その代表的な治療である大腿骨頭前方回転骨切り術における予後不良因子も新たに同定し、さらなる治療成績の向上につながると確信している。また、骨切り術後の成績が不良な場合には人工股関節置換術を余儀なくされるが、骨切り術後であっても人工股関節置換術の成績は遜色ない結果が得られることを検証し、米国の代表的な整形外科雑誌Journal of Arthroplastyにアクセプトされた。
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Strategy for Future Research Activity |
圧潰のメカニズムを解明するためには、力学的な試験が必須であり、今後は工学部と連携してメカニズムの解明を行う予定である。実験により得られる荷重分布と3 次元有限要素法による応力解析との相関を示し、3 次元有限要素法によって骨頭圧潰進行を予測できることを示す予定である。
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Causes of Carryover |
今年度には、ノートパソコンを購入しなかったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ノートパソコン購入費に回す予定
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Research Products
(8 results)