2016 Fiscal Year Research-status Report
関節リウマチのCD4T細胞を中心とした炎症病態解析
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16K10907
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山田 久方 九州大学, 生体防御医学研究所, 共同研究員 (20363369)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 関節リウマチ / T細胞 / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
関節リウマチ患者から採取した、末梢血、滑膜、関節液よりリンパ球を密度遠心法にて分離し、ゴルジ装置阻害剤の存在下で、無刺激、あるいはマイトジェン刺激を加えて4時間培養した。その間に細胞内で産生、蓄積されたサイトカインの中で、IFN-γ、IL-4、IL-9、IL-17、IL-21、IL-22、GM-CSFの計7種類を染色し、その発現を米ベクトンディッキンソン社製FACSVerseフローサイトメータを用いて検出した。 解析症例数を蓄積しつつ、CD4陽性Tリンパ球におけるこれらのサイトカインの発現を末梢血と関節内で比較したところ、関節内では特にIFN-γとIL-21の産生細胞の頻度が高いことがわかった。近年新たな治療標的として注目されるGM-CSFを産生する細胞については、特に末梢血中ではIFN-γについで2番目に高い頻度で産生されていることが明らかになったが、末梢血と関節内ではその数に差を認めなかった。これは滑液と滑膜でも差がなかった。ただし、末梢血中のGM-CSF産生細胞は他のサイトカインは産生しないものが多かったのに対し、関節内のGM-CSF産生細胞の多くはIFN-γも同時に産生していることがわかった。興味深いことにマウスの炎症性疾患モデルでその重要性が示されている、IL-17とGM-CSFを共産生するT細胞は、ヒト関節リウマチではほとんど存在しないことがわかってきた。 なお、上記のサイトカインの発現パターンと、ケモカインレセプターなど各種細胞表面分子の発現パターンとの関係の解析も試みたが、これについては特にケモカインレセプターの発現が培養後に大きく変化することが多く、現在のところは十分な解析はできていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多染色フローサイトメータ法による、RA患者ヘルパーT細胞サブセットの包括的解析については、滑液細胞は比較的入手しやすいこともあり、ほぼ順調に解析が進んでいるが、滑膜培養実験については、解析に適した炎症活動性が比較的高い滑膜組織を得ることが昨今極めて困難になっているため、条件検討実験もまだ十分に行えていない状態である。今後も劇的に状態が改善するとは考えづらいが、これを継続する必要がある。動物実験はまだ交配を進めている段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には当初の計画通りに研究を推進する。中でも解析が進んでいる、関節リウマチ患者T細胞の解析については、細胞表面分子の解析にセルソーターを用いた、培養前サブセット分取も取り入れて解析をさらに進める予定である。
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Causes of Carryover |
臨床検体の入手状況などにより、一部の実験系の進捗が予定より遅延したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
臨床検体の入手次第、計画通りに研究を遂行する。
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