2016 Fiscal Year Research-status Report
内軟骨性骨化における後縦靭帯骨化症関連遺伝子STK38Lの役割と標的分子の解析
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16K10910
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
栫 博則 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (50423728)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 真吾 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任准教授 (60353463)
河村 一郎 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員准教授 (90535832)
小宮 節郎 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (30178371)
冨永 博之 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (20750798)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 脊椎後縦靭帯骨化症 / Stk38l / 骨芽細胞 / 軟骨細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)間葉系細胞の分化決定と成熟過程におけるSTK38Lの機能解析 靭帯細胞のモデルとして線維芽細胞NIH3T3、前駆軟骨細胞にC3H10T1/2、分化決定後軟骨細胞にATDC5、前駆骨芽細胞として骨髄ストローマ細胞ST-2、分化決定後骨芽細胞にMC3T3-E1(clone 4)に対して、Stk38l siRNAを作用させ、それぞれの分化系における変化を解析した。分化の方向と程度の評価は、それぞれの分化マーカーを主にqRT-PCRで評価した。具体的には、線維芽細胞はCol1a1やCol3a1等、軟骨細胞は、Sox9, Col2a1, Acan, Col10a1, Mmp13等、MSC様細胞への脱分化にはCD44, Endoglin, Nucleostemin, STRO-1等、骨芽細胞分化はRunx2, Sp7, Col1a1, Alpl, Bsp, Osteocalcin等を検討した。また、軟骨細胞分化は、monolayer cultureとmicromass cultureを用いて、アルシアン・ブルー染色で軟骨基質を、成熟石灰化はvon Kossa染色でも検出した。骨芽細胞分化は、ALP染色で初期分化を、後期基質石灰化をvon Kossa染色で評価した。基質染色でマーカー発現との整合性を常にモニタリングすると共に、分化過程におけるStk38l自体の発現変化も追跡した。 2)OPLL組織切片に対してSTK38Lの免疫組織化学染色を行った。LSBio社の抗体は、ウエスタン・ブロットと免疫染色に使える事を確認しているが、OPLL組織における明らかな染色性は得られなかった。 3)C57BL/6Jマウスの胎生16.5~18.5日、および生後3日までの発生期と、3ヶ月から6ヶ月齢のadultの骨リモデリング期の大腿骨遠位1次骨化中心部(内軟骨性骨化)と頭蓋冠(膜性骨化)を採取し、Stk38l蛋白レベルの局在を解析した。また各種臓器からのRNA解析により、Stk38lの発現分布(ユビキタスか骨格特異的か)を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
OPLL組織採取とそこからの初代培養細胞樹立であるが、OPLLの手術症例に関して前方アプローチにより充分に採取できる症例がなかった為にできていないが、来年度以降に施行予定である。 また、STK38Lのアデノウイルス作成は、293細胞の調子が悪く満足できる力価が得られていないので、条件設定を行なっている。
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Strategy for Future Research Activity |
OPLL組織の採取、STK38Lアデノウイルス作製に引き続き挑む。 STK38Lのリン酸化標的分子の検索と同定について、Intavis社のCelluSpots-serine/threonine kinase substrate peptide arrayを用いて、serine/threonine kinase であるStk38lの標的ペプチド・モチーフを網羅的に検索し、リン酸化標的分子を同定する。検出システムはウエスタン・ブロットと同じECL発光系であり、特別な解析ソフト不要なので、当研究室既存のシステムで対応可能である。マウス骨芽細胞株・軟骨細胞株を用いる。このシステムで候補分子が同定できなかった場合は、Stk38lの下流シグナル標的遺伝子検索に変更し、Stk38lノックダウン細胞のマイクロアレイ(外注)解析を行い、同定する。同定したリン酸化標的分子候補のうち、抗リン酸化抗体が入手可能なものを優先的に選択し、その分子の過剰発現系を構築する。Stk38lのノックダウン/過剰発現によるそのリン酸化レベルの変動をウエスタン・ブロットで検討し、動いたものを標的分子とする。また、マイクロアレイ検索に至った場合は、Stk38lと発現が連動するものをqRT-PCRで抽出し、過剰発現系を構築する。そのリン酸化標的分子のsiRNAによるノックダウンと過剰発現実験を行い、細胞分化への影響を評価する。Stk38lの効果と同様の働きをするか、また標的・下流分子であれば示すはずのStk38lとダブル・ノックダウンした際の協調効果(genetic interaction)が観察できるか、確認する。
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Causes of Carryover |
残額7336円であり、概ね計画的な予算執行ができているが、半端な残額であり次年度以降に有効に使用したい。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
残額は抗体などの消耗品に充てたい。
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