2016 Fiscal Year Research-status Report
新規骨質評価法を用いたin vivoにおけるステロイド性骨粗鬆症骨質に関する研究
Project/Area Number |
16K10916
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Research Institution | Chitose Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
須田 廣美 (木村―須田) 千歳科学技術大学, 理工学部, 教授 (00574857)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高畑 雅彦 北海道大学, 医学研究科, 講師 (40374368)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ステロイド性骨粗鬆症 / 骨強度 / 骨質 / 力学特性 / 骨代謝 / 赤外分光法 / マイクロCT |
Outline of Annual Research Achievements |
ステロイド性骨粗鬆症(GIO)は、副腎皮質コルチコイド(GC:グルチコルチコイド)による治療で発症する副作用の一つで、長期ステロイド治療を受けている患者では、その30~50%に骨折が起こると報告されている。GCは炎症を起こす疾患の治療に広く用いられ、膠原病、リュウマチ、ぜんそく、甲状腺の障害治療など、慢性病にも使用されていることから、GIO患者の年齢層は幅広く、性別に依らない。日本では約120万人以上がGCを3ヶ月以上使用している。GIOの特徴は、GC使用開始後すぐの骨量減少が8~12%と高く、その後は数パーセントずつ減少する傾向にある(GIOの管理と治療のガイドライン:2014改訂版)。また、他の骨粗鬆症と比べ、骨密度に対してより骨強度が低下する傾向にある。そのためGIOによる骨強度の低下は、骨質による影響が大きいと考えられている。 GIO発症の機序については、GCによる骨芽細胞や骨細胞のアポトーシスの誘発、破骨細胞寿命の延長、二次性副甲状腺機能亢進症を介する骨密度の減少や微細構造破壊などが報告されている。その一方で、GIO患者の骨質に関する報告は極めて少ない。 骨質の評価は、摘出した骨を計測・解析するのが一般的で、GIO以外の病態についてもin vivo による骨質評価は殆ど行われていない。 本研究では、骨質を制御する骨代謝をモニタしながら、in vivoにおける骨質の化学的な情報、構造学的な情報、力学特性を評価し、骨質と骨強度の関わり合いについて検討することを目的としている。具体的には、GIOモデルマウスを作製し、赤外分光法とマイクロCTを用いてin vivoにおける骨質の化学的・構造学的な解析を行い、同一検体で行うin vivoの力学特性評価で得られた骨強度との関わり合いを検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
力学特性評価に使用する装置の購入が遅れた。また、納品された装置の治具に問題が発生し、その改善に時間を要した。その結果、検体の固定治具の開発が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
1. ステロイド性骨粗鬆症GIOモデルマウス作製と飼育、骨代謝マーカー検査、生化学検査、カルセイン投与を行う。(1)GIOモデルマウス作製と飼育:C57/Bl6マウス・♂・12週齢にグルチコルチコイド(GC)を8週間皮下投与した群とコントロール群を作製する。(2)骨代謝マーカー検査/生化学検査:5日ごとに血液中のオステオカルシンの計測を行う。また、生化学検査では、皮下投与開始前と開始後8週間目にクレアチニン、カルシウム、リン、尿素窒素の検査を行う。(3)カルセイン投与:皮下投与開始後7週目と8週目にカルセイン投与を行い、蛍光顕微鏡を用いて骨形成の様子を観察する。 2. in vitroにおける大腿骨の3点曲げ、圧縮試験: GC投与群とコントロール群について、安楽死後に左右大腿骨を摘出し、それぞれ大腿骨の3点曲げと圧縮試験を行う。 3. 赤外イメージングによるin vitroの骨質解析:GC投与群とコントロール群について、安楽死後に脛骨を摘出し、右側はPMMA包埋による薄切標本、左側は凍結包埋による薄切標本を作製する。赤外イメージングを用いて、それぞれ薄切標本を可視化・解析する。 4. 赤外分光法によるin vivo骨質解析の開発:近赤外(NIR)光を用いた骨質解析手法を確立する。 5. in vivo力学特性評価法の開発:脛骨を固定する治具を開発し、力学特性に関して再現性の良いデータが得られるようにする。
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Causes of Carryover |
購入予定の装置で必要とする機能を有する安価な装置を購入したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
動物の飼育費用と消耗品、外部発表資金に使用する予定。
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Research Products
(7 results)