2016 Fiscal Year Research-status Report
Neurovascular Unitの温度応答からみた脳低温による脳保護機構
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16K10939
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Research Institution | Kyushu Women's University |
Principal Investigator |
松井 智浩 九州女子大学, 家政学部, 准教授 (50314828)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Neurovascular Unit / 脳血管内皮細胞 / 脳低温療法 / パーフォリン / T細胞 / 高温培養 / サイトカイン / 血液脳関門 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳低温療法による脳保護機構を説明するため、本年度は、Neurovascular Unit(NVU)を構成する細胞群の中で、T細胞(広義)と脳血管内皮細胞に着目し研究を行い、以下の成果を得た。 1.脳虚血等による脳損傷後、T細胞は遅発性に脳内に浸潤し、脳血管内皮細胞傷害性因子であるパーフォリンを放出することで脳障害増悪に関与する。脳低温療法は脳障害時に脳温を32~34℃の低温にすることで、脳保護効果を期待する治療法であり、その産生を低下させる機序が考えられる。そこで、末梢性T細胞のパーフォリン産生に低温・高温が及ぼす影響を調べた。その結果、CD4+、CD8+およびγδT細胞のパーフォリン産生は、37℃に比べ33℃では低値、39℃では高値となる温度依存性変化を示した。 2.研究代表者は既に、NVUを構成するマイクログリアのTNF-α産生とT細胞のIL-17産生が温度依存的であることを報告してきており、今回、その温度依存的産生の病態生理学的意義を、血液脳関門(BBB)の透過性(脳血管内皮細胞の経内皮電気抵抗)をみることで評価した。その結果、両因子ともBBBの透過性を濃度依存的に増加させた(脳血管内皮細胞の経内皮電気抵抗を濃度依存的に低下させた)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今年度は、2度に渡る所属変更があったため、それに伴う研究機器等の移動やセットアップ等に多くの時間が割かれた。よって、研究は遅れていると評価せざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の全体構想は、脳低温療法による脳保護機構を説明するため、Neurovascular Unit(NVU)に着目し、NVU構成細胞由来神経傷害性因子発現と血液脳関門(BBB)機能の低温・高温応答を、細胞培養系および低酸素性虚血性(Hypoxia-Ischemia: HI)脳障害モデルを用いて包括的に調べるものである。よって、今後は、細胞培養系のみならず脳障害モデル動物を用いた研究も遂行していく。
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Causes of Carryover |
今年度は、2度に渡る所属変更があったため、それに伴う研究機器等の移動やセットアップ等に多くの時間が割かれたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究の全体構想は、脳低温療法による脳保護機構を説明するため、Neurovascular Unit(NVU)に着目し、NVU構成細胞由来神経傷害性因子発現と血液脳関門(BBB)機能の低温・高温応答を、細胞培養系および低酸素性虚血性(Hypoxia-Ischemia: HI)脳障害モデルを用いて包括的に調べるものである。よって、今後は、細胞培養系と並行して脳障害モデル動物を用いた研究も遂行していく。特に後者の研究では、研究の遅れを取り戻すためにも、一部受託研究を依頼する予定である。
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