2017 Fiscal Year Research-status Report
高血糖による吸入麻酔薬の心保護効果減弱とグルコース輸送体の関連
Project/Area Number |
16K10941
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
田中 克哉 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 教授 (30263841)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤 保夫 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 准教授 (90523499)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 吸入麻酔薬 / 心筋保護効果 / イソフルラン / グルコース輸送体 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで我々は吸入麻酔薬が心筋虚血再灌流傷害に対して保護効果を発揮するメカニズムを解析し、臨床的な応用が可能か研究を行ってきた。今回の研究では、吸入麻酔薬による心筋保護効果に心筋のグルコース輸送体(GLUT)が関与するかどうかに着目をして研究を行っている。 ウサギをペントバルビタールで麻酔を行い、気管切開をして人工呼吸管理を行った。左開胸をして左冠動脈前下行枝の枝に糸をかけて、すべてウサギで30分間の冠動脈閉塞と3時間の再灌流を行った。いわゆる、心筋虚血再灌流傷害を与えた。群は心筋虚血再灌流傷害を与えるコントロール群、心筋虚血45分前にイソフルラン2.1%を30分間吸入させて、15分間イソフルランを排泄させたイソフルラン群、GLUT4を阻害するリトナビルをイソフルラン吸入前に投与したリトナビル群、イソフルランとリトナビルを両方投与した群の4群で各群7羽ずつ実験を行った。3時間の再灌流後に冠動脈を再び閉塞しエチレンブルーを投与して心臓を摘出して、酵素活性を用いた方法で心筋梗塞サイズを測定した。 これらウサギの心筋虚血再灌流傷害モデルを用いた実験で、吸入麻酔薬イソフルランによる心梗塞サイズ減少効果が、GLUT4阻害薬リトナビルを前処置することで消失することを見出した。また、リトナビル単独では心筋梗塞サイズに影響を与えなかった。これらの結果は、イソフルランによる心筋保護効果にGLUT4が関与することを示唆している。 研究当初に予定していた、PET-CTも用いたグルコースの心筋内の取り込みの評価はCT室で小動物の手術ができないという制約のため変更を余儀なくされている。病理標本を用いた解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年、遅れていたウサギの心筋虚血再灌流モデルを用いたin vivo実験は今年順調にこなすことができた。グルコース輸送体4(GLUT-4)の機能を抑制するリトナビルを前処置するとイソフルランによる心筋梗塞サイズ減少効果が有意に棄却された。また、リトナビル単独では心筋梗塞サイズになんら影響を与えなかった。計画当初考えていたように、吸入麻酔薬の心筋保護効果にGLUT4が関与することが証明されたが、さらに、詳細に確認するための研究が必要である。当初、小動物のPET-CTを用いてグルコースの心筋内の取り込みを評価するように考えていたが、PET-CT室で動物の手術を行うことができず、研究のプロトコールを再考中である。各群で心筋を摘出して、心筋内の各種酵素の同定、および病理切片を作成してGLUT4の組織での関与を見ていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
先ほども記載したが、当初、小動物のPET-CTを用いてグルコースの心筋内の取り込みを評価するように考えていた。しかし、PET-CT室で動物の手術を行うことができず、研究のプロトコールを再考中である。各群で心筋を摘出して、心筋内の各種酵素の同定、および病理切片を作成してGLUT4の組織での関与を見ていく予定である。
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Causes of Carryover |
心筋梗塞サイズ測定の実験が終了した段階で残高が20,158円がでた。今年度、組織を用いた別の実験を行う予定であり、資金はそちらの物品費に使用させていただきたい。
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Research Products
(3 results)