2016 Fiscal Year Research-status Report
ヒト臍帯動脈におけるmyogenic response の検討
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16K10943
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
恒吉 勇男 宮崎大学, 医学部, 教授 (90301390)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 血管平滑筋 |
Outline of Annual Research Achievements |
臨床研究として、敗血症が疑われるような急性機能不全患者に対して、経時的に循環パラメータの変動を測定している。パラメータとして、アドレノメデュリンを主に検討している。アドレノメデュリン (AM) は強力な血管拡張作用を有する循環調節ペプチドであるが、他にも臓器保護作用や抗炎症作用、組織再生作用などが知られている。循環器疾患、炎症性疾患、敗血症などでAMの血中濃度が増加するという報告はあるが、周術期にどのような変化を示すかについての報告は心臓血管手術以外ではほとんどない。今回、われわれは周術期におけるAMの変動およびAMと各種炎症性パラメータとの相関を明らかにしたい。 ヒト臍帯動脈における血管反応性は、いまだに不明な点も多い。われわれは、出産直後のマウスから摘出した臍帯動脈において、Pressure Servo Control system を用いて動脈内腔の圧を変化させたところ、臍帯動脈は加圧に応じて強いoscillation を伴う収縮反応を惹起することを見出した。このことから、臍帯動脈は血圧変化に伴い収縮反応を生じるauto-regulation メカニズムを有していると推測されるが、これまでにヒト臍帯動脈血管を用いた研究はない。今回、帝王切開後に娩出された胎盤から臍帯動脈を摘出し、血管反応性を調べるとともに、血管内圧変化で血管収縮反応を生じるか検討する。さらに、ヒト臍帯動脈における各種麻酔薬の反応性ならびにそれらのmyogenic mechanism(筋原生収縮機構)に及ぼす効果を合わせて検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
臨床業務が多忙なため、本研究に割り当てるエフォートが5%程度まで低下している。今後は時間を見て、研究時間を増やす工夫が必要である。研究器具の購入はおおむね完了したので、今回の研究資金で試薬を確保したい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、臨床研究にも力を入れていきたい。全身麻酔時には動脈や静脈の血管径が変化することで循環血液量を調節し、血圧や体温、放熱など様々な生体反応に深く関与していることが知られている。しかしながら、それらの変化を直接的に手術患者において観察することは不可能であった。近年、手首の背面から近赤外光を照射し、手首を透過した近赤外光をカメラで血管を明確に描出させる血管可視化装置(MillSuss)が発売された。本装置は、手術で観血的な血圧を測定のための動脈ライン穿刺に際し、通常の触診による穿刺では難しい患者において動脈を可視化させ穿刺を簡易化するものである。本装置は、動脈のみならず表在の静脈も可視化することができるため、静脈径の変化も観察することができる。作動原理として、血管の可視化に近赤外光を用いるため人体には無害であり、安全な一般医療機器として市販されている。本研究では、全身麻酔時の手首にある静脈径の変化を録画し、血管径のコンピュータ上で解析するソフト(MYOVIEW )を用いて、血管径の変化を検討したい。 摘出血管による血管系の測定、周術期における各種炎症性パラメータの変化、さらに全身麻酔時の静脈径の変化の観察など、研究は多岐にわたるが、いずれも循環変化においては重要な因子であり、残された期間において研究を遂行し終えたい。
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Research Products
(2 results)