2016 Fiscal Year Research-status Report
微小循環動態および血管内皮機能を指標としたショック病態の解明
Project/Area Number |
16K10948
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
小森 万希子 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (60178332)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 圭子 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (00155532)
冨澤 康子 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (00159047)
市川 順子 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (60318144)
小高 光晴 東京女子医科大学, 医学部, 臨床教授 (90280635)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 出血性ショック / 微小循環 / 舌下粘膜 / 兎耳窓法 |
Outline of Annual Research Achievements |
出血性ショックモデル: 15-20mlの脱血を5回に分けて行い、循環血液量の40-50%の脱血を行い、人為的大量出血とする。全身麻酔下、生体顕微鏡下に心電図、動脈圧、中心静脈圧、心拍出量等の循環動態評価を行い、微小循環は血管径、血流速度、血流量の変化、白血球や血小板の血管内皮への接着、赤血球の連銭形成を直視下に観察する。赤血球変形能を測定する。気管挿管下で呼吸管理を行い、血液ガス分析、気道内圧をモニターする。出血性ショックに対する輸液蘇生の効果をみるために、膠質液である中分子量ヒドロキシエチルデンプン(HES)を用いた場合、ミクロの指標として微小循環動態と赤血球変形能を、そしてマクロの指標として中心静脈酸素飽和度(ScvO2)および中心静脈血と動脈血の二酸化炭素分圧較差(dCO2)について晶質液と比較した。 ①Rabbit ear chamber (REC)モデル作成:家兎の耳介にアクリル樹脂製透明窓を装着する。6週間経て新生血管再生後この窓を通して毛細血管を3-CCDビデオテレビを装備し生体顕微鏡下にリアルタイムに観察する。 ②舌下微小循環:家兎の舌下に微小循環観察用コンピュータシステムを用いてプローベを舌下の粘膜に接着させ、コンピュータ画面で観察し、解析する。 <結果>出血性ショックで輸液蘇生を行った結果、膠質液では晶質液に比較して、RECモデルにおいては、細動脈の血管径は増加、血流速度は上昇、血流量も増加した。急性大量出血における輸液蘇生で中分子量HESは生食に比し、微小循環動態、中心静脈酸素飽和度およびdCO2に改善がみられた。赤血球変形能は膠質液で有意に保たれていた。 舌粘膜の微小循環は現在のところ、有意差はみられていないが、これはRECが末梢循環を観測しているのに対して、舌下微小循環はより中枢の循環動態を反映していることも示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの兎耳窓法による微小循環観察に加えて、舌下微小循環を観察する方法を取り入れ、新しい知見が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
敗血症性ショック:エンドトキシン(Sigma社製E coli,B4 lipopolysaccharide;LPS)を2-10mgを生理食塩水に溶解し、20分かけて点滴静脈内投与する。 治療効果の期待できるトロンボモジュリンなどの投与により、微小循環および赤血球変形能さらには血液凝固の評価を行う。 血液凝固の評価:全血凝固線溶分析装置(ROTEM)で、内因系凝固経路(以下INTEM)、外因系凝固経路(以下EXTEM)、フィブリン重合(以下FIBTEM)における各凝固時間(以下Clotting Time, CT)、血餅形成時間(以下Clotting Formation Time, CFT)、最大血餅硬度(以下Maximum Clot Firmness, MCF )、凝固から10分後の血餅硬度(以下A10)につき解析する。さらに、プロトロンビン時間(以下PT)、活性化部分トロンボプラスチン時間(以下APTT)、フィブリノゲン値を凝固時間法で測定する。また、血小板数を自動血球分析装置で自動測定する。 ショックモデルのそれぞれの治療におけるグリコカリックスの観察:ヘパリン不添加のリンゲル溶液によりウサギの大動脈より灌流,1%のグルタールのパラホルムアルデヒド(pH 7.4)を使用し灌流固定後,0.05%のアルシアンブルー8GX を潅流させRECを摘出する。摘出組織のchamberをはずし、細片に切断,切片に切り,1%四酸化オスミウム液と1%硝酸ランタン液に浸漬.試料をアルコール脱水し,エポンに包埋し,超薄切片を作成して透過電子顕微鏡で観察.その映像より,グリコカリックスの厚さを計測し治療群とコントロール群間で比較する.
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Causes of Carryover |
舌下微小循環観察用のコンピュータシステムのレンタル料が今年度からの出金では足りないため、次年度にまとめて、支払うことにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
舌下微小循環観察用のコンピュータシステムのレンタル料およびその消耗品の購入を加える。
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Research Products
(8 results)