2018 Fiscal Year Annual Research Report
Whole transcriptome analysis of the brain in a shrew model of postoperative nausea and vomiting
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16K10951
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
杉野 繁一 東北大学, 大学病院, 助教 (00423765)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 術後悪心嘔吐 / PONV / スンクス / 次世代DNAシークエンサー / トランスクリプトーム解析 / 孤束核 |
Outline of Annual Research Achievements |
術後悪心嘔吐(PONV)は全身麻酔覚醒後に生じる合併症の1つである.だがその分子生物学的機序は明らかになっていない.スンクスはラットやマウスと違い,容易に嘔吐行動が生じる哺乳類である.本研究はこのスンクスにイソフルラン麻酔下に下腹部手術を施し,スンクスPONVモデルを確立した後に,脳幹の嘔吐中枢である孤束核(NTS)のゲノム網羅的な遺伝子発現変化(トランスクリプトーム解析)を行い,PONVの分子遺伝学的機序を解明するものである.最終年度は5匹のスンクスを用いて,これまでのデータの拡充を行った.行動実験では無処置群,偽手術群,PONVモデル群,ニコチン陽性対照群の4つを設定した.全身麻酔からの覚醒後の嘔吐行動は無処置群で0回,偽手術群で6回,PONVモデル群で6回,陽性対照群で12回であった(中央値).さらにわれわれはNTSを切り出し,RNA-seqを行った.遺伝子発現レベルの比較と引き続くパスウェイ解析から,ゴナドトロピン刺激ホルモン情報伝達系がPONVと関連することを突き止めた.さらにパスウェイ中のEGR1転写因子に着目し,4群のスンクスNTSで偽手術群,PONVモデル群,ニコチン陽性対照群で発現が増加していることをデジタルPCRで確認した.科研費による支援は2018年度で終了するが,今後はsiRNAを用いて,脳内でin vivo遺伝子ノックダウンを行い,EGR1遺伝子の発現抑制が,スンクス嘔吐行動を抑制するかを確認してゆく予定である.またこれまでの成果は2019年10月の米国麻酔学会で発表予定である.
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Research Products
(1 results)