2017 Fiscal Year Research-status Report
重症敗血症による心機能低下とβ1受容体遮断効果-超音波イメージングによる解析
Project/Area Number |
16K10953
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
黒田 昌孝 群馬大学, 医学部附属病院, 講師 (30375555)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 敗血症 / 心機能 / ストレイン / β受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
重症敗血症に起因する心機能の低下(Sepsis-Induced Cardiomyopathy: SIC)は、冠動脈の微小循環の異常による心筋虚血、全身の循環血中に存在する種々のサイトカイン、プロスタノイド、Nitric oxide (NO)などのMyocardial depressant factor (MDS)と呼ばれる心筋抑制因子の関与、血管内皮細胞の活性化と凝固系カスケードの導入の関与、自律神経系の調節不全、細胞内ミトコンドリア機能異常とアポトーシス、Toll-like receptorsの関与など、様々な機序が複雑に絡み合う形で出現すると考えられる。こうして発生した心機能低下状態を直接的に低侵襲で評価できるのは、臨床使用上においても心機能評価のゴールドスタンダードとなっている超音波イメージングであるが、敗血症に起因する心機能変化について、心臓の機能的および構造的特徴についての詳細な評価はなされていない。今回の研究では、スペックルトラッキングによるストレイン法および心筋コントラストイメージングを用いた新しい手法により、敗血症による心機能低下の特徴を新たに詳細に示すことを目標とし、その知見をもとにβ1受容体遮断による心機能改善効果を引き続き検証している。当病態における心機能の変化としては、従来の超音波測定によるグローバルな心機能評価としての左室駆出率(LVEF)、右室面積駆出率(RVFAC)などはいずれも抑制される傾向を示したが、心臓の負荷状態に大きく依存する病態においてはデータにばらつきが多く、客観的な評価としては適切とはいえないと考えられたが、スペックルトラッキングによるストレイン法は、負荷状態に比較的依存せず有意な抑制変化を示した。β受容体遮断効果の客観的評価にも有用性を見いだせると考え今後検証をしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
従来からの指標である心機能評価と新しい手法であるスペックルトラッキングによる心機能評価の比較検討に一定の時間を要した。安定したモデルの供給と維持のために一定の時間を要した。通常の臨床業務の多忙から研究時間の確保が限定的であった。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、スペックルトラッキングによるストレイン法を用いた心機能評価の検証を中心にすすめていき、より客観的で有効な指標としての確立を目指すため、サンプル数を増加させる。同時に、β受容体遮断効果の検証をすすめ、その効果的な作用を立証する。また、コントラストイメージングによる作用機序の解明や、炎症反応および心筋障害マーカーによる生化学的変化の検証も行っていく。安定したモデル供給の維持および研究時間の確保を図っていく。
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Causes of Carryover |
(理由)当初の研究計画の中で、主にモデル供給と維持に想定していた以上に時間を要したことや、臨床業務の多忙さから研究時間が限定的であったため、予定していた通りの研究の施行に至らなかったためと考える。 (使用計画)今年度における進行状況を踏まえ、達成度の不十分な項目につき次年度においても引き続き検討していくために使用すると同時に、次年度の新たな研究計画を遂行していく。
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