2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K10958
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大田 典之 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (60379162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤野 裕士 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50252672)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 樹状細胞 / 接触過敏症 / ハプテン / サイトカイン / リンパ球 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体内でのtransloctor protein (TSPO)の作用の解析を目的として、免疫系で重要な制御細胞である樹状細胞への影響と、免疫疾患モデルである接触性過敏症に対するTSPOリガンドの効果の検証を行った。TSPOリガンドはEtifoxine (以下ETXと略)を用いた。樹状細胞にETXを作用させると樹状細胞の成熟と活性化が抑制された。LPSによる樹状細胞での副刺激分子の発現上昇やTh1を誘導するサイトカインであるIL-12の分泌増加がETXによって抑制された。次にETXによって変化した樹状細胞によるリンパ球の活性化への影響を評価した。樹状細胞によるリンパ球の増殖刺激能とリンパ球のTh1への分化刺激能をリンパ球からのIFN-γの産生によって評価した。ETXは樹状細胞によるリンパ球の活性化とTh1への分化を抑制した。次にこのETXによる樹状細胞の形質変化が動物個体レベルでの免疫応答に影響を与えるのか否かを樹状細胞の投与によって生じる接触過敏反応によって評価した。ハプテンを取り込ませた樹状細胞によって動物を免疫した後、皮膚に同じパプテンをチャレンジすると接触過敏症が誘導される。免疫する樹状細胞をあらかじめETXで処理しておくと接触過敏反応の発生が抑制された。これらの結果はTSPOリガンドであるETXは樹状細胞の成熟を抑制し、樹状細胞によるリンパ球のTh1への分化刺激能を抑制し、樹状細胞の形質変化は動物個体レベルでの免疫応答にも影響を与えることがしめされた。次にETXの炎症モデルへの治療効果を接触過敏症モデルを用いて検証した。ハプテンを皮膚に塗布しその数日後に皮膚に同じハプテンを投与すると皮膚は浮腫を呈するのが接触過敏症モデルである。ハプテンによる感作時にETXを全身投与すると接触過敏症の発症を防止できた。この結果はETXの免疫疾患の制御への応用の可能性を示唆する
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Translocator protein (TSPO)の生体内での作用をTSPOリガンドを用いて免疫担当細胞およびそれらによって生じるin vitroでの免疫応答、加えて免疫疾患モデルを用いて動物個体レベルで観察される免疫応答によって評価を行っている。これらからTSPOリガンドはTh型の免疫応答の誘導を抑制する可能性が示唆されている。Th1型の免疫応答は感染症における免疫防御の一部を担っており、TSPOリガンドがこの応答を抑制する可能性は感染症におけるTSPOひいてはベンゾジアゼピン系の影響の可能性を示唆している。本研究課題で目的としている感染症におけるベンゾジアゼピンによる免疫悪化作用の根底にあると考えているTSPOを介した免疫系への抑制作用の一端を明らかにしつつあると考えている
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Strategy for Future Research Activity |
複数のTSPOリガンドで樹状細胞への作用を確認しさらに接触過敏症を抑制できるのかを確認する。複数のリガンドで同様の結果が得れれればTSPOの意義がより確認される。またTSPOリガンドの投与の接触過敏症モデルへの効果の原因をモデルのより詳細な解析を通じて追求する予定である。 さらに他のTh1型のTh1型の免疫疾患モデルでTSPOリガンドの応用の可能性を検討する。
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Research Products
(1 results)