2016 Fiscal Year Research-status Report
重症病態における内皮細胞機能変化の時間空間的イメージング手法による病態生理の解明
Project/Area Number |
16K10973
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
鵜澤 康二 杏林大学, 医学部, 助教 (30530703)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
萬 知子 杏林大学, 医学部, 教授 (40210801)
牛山 明 国立保健医療科学院, その他部局等, 上席主任研究官 (60291118)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 末梢循環 / 輸液 / グリコカリックス / 内皮細胞 / ヒドロキシエチルスターチ |
Outline of Annual Research Achievements |
麻酔や集中治療領域における重症患者の病態解明や、大量出血等の危機的状態の救命率を向上のために、その微小循環の解明は必須であると考える。しかし、実際の臨床において、大量出血や重症敗血症の正確な病態をリヤルタイムで把握することは困難である。本研究の目的は、急性出血モデル、敗血症モデルにおける毛細血管レベルでの事象をin vivo顕微鏡イメージング技術を用いて観察する事により、個体の微小循環及びその環境をリアルタイムに観察し、変化に富む血管内皮細胞の機能を明らかにし、同時に組織化学的観点から内皮細胞構造の病的変化(グリコカリックス層の脱落や血管内皮細胞の形状変化)の関連性を解明し、輸液や治療薬の病態改善効果を明確にすることにある。 H28年度は、マウスアルブミンの生成やHES70の蛍光標識及びその投与である。具体的には、脱血モデルにおいて、生理食塩水、HES130、マウスアルブミンを同量輸液して蘇生し、FITC-HES70とTMR-DEX40kDaを投与した実験系において、120分継時的に生体蛍光顕微鏡で観察した。また、同様の実験系でWGA-FITCを投与して内皮細胞表層を染色し、グリコカリックスの損傷の程度を評価した。 データ解析は、まだ完了してないが、様々な病態(通常、脱血、敗血症状態)におけるFITC-HES70の継時的変化やその局在性は異なっていた。今後データ解析し、詳細な比較検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験当初は、現在日本で使用されているHES製剤(分子量:70000、130000)をFITCで標識し正常状態のマウスの血管透過性を定量化、時間的、空間的な評価を行う予定であったが、HES130000の入手が困難であったため、HES-70000の標識を成功するに止まった。 また、牛アルブミンを使用した実験では、急性出血や敗血症に伴う生体反応のみではなく、他の生体反応が生じ、正確な生体情報を得ることができなかったので、新たにマウスアルブミンの入手が必要になった。しかし、非常に高価で、必要量を考慮すると、マウスアルブミンの生成が必要であると判断した。その生成にはかなりの時間を要し、実験計画の遅延や計画変更を余儀なくされた。実験の重要性を考慮し、組織酸素分圧の測定は行わない方針とした。 来年度は、HES130000の蛍光標識とマウスアルブミンの蛍光標識を中心に実験を行うことにし、現在の計画通り、DEX、HES、ALBに蛍光色素のFITCを標識し、FITC-40000 DEXの血管透過性及び白血球‐内皮細胞相互作用の観察、定量化、イメージングは行う。しかし、H29年度は、NS、HES、VOL投与によるグリコカリックスの機能評価を行うのが中心課題であるため、できるだけ早期に蛍光標識を完了するように配慮する。
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Strategy for Future Research Activity |
実験計画の変更については、様々な病態での局所酸素分圧測定に関しては、アルブミンの生成に時間と費用を費やしてしまった関係で計画から削除した。しかし、現在の重症病態における輸液療法を考えると、アルブミン投与とその内皮細胞機能の関係を明らかにすることは、最優先課題であり除外することはできない。本年度は、HES130000やマウスアルブミンに対して蛍光標識をし、重症病態のマウスに投与する予定となっているが、この試みは世界で初となるため、計画通りに進まない可能性がある。その場合、実験モデルを脱血モデルに限定してでも、実験を進める。病態解明にとっての優先順位や重要度を考え、実験を進めていく。
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Causes of Carryover |
マウスアルブミンの精製及び蛍光色素標識の結合実験が当初計画より少し遅延しており、次年度に実験が持ち越された。使用する精製カラムや蛍光色素など
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度に実験を予定していたマウスアルブミンの精製及び蛍光色素標識の結合実験に必要な精製カラムや蛍光色素を追加購入する。
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Research Products
(5 results)