2018 Fiscal Year Research-status Report
脾臓由来M1型及びM2型単球系細胞を介した神経障害性疼痛発症のメカニズム解明
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16K10984
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
柴崎 雅志 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20405319)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天谷 文昌 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60347466)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 神経障害性疼痛 / マイクログリア / 脾臓由来単球系細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
脾臓由来単球系細胞と神経障害性疼痛が関与するかどうかについて研究を進めてきた。神経障害性疼痛の動物モデルにSNI(Spared Nerve Injury)モデルを使用し、脾臓摘出術を加えた群と、SNIモデル単独群に対し、von Frey Filamentを用いた機械刺激に対する痛覚閾値を評価する行動解析を行った。これまでの研究結果では、傷害側ではSNIモデルに脾臓摘出術を加えた群及びSNIモデル単独群ともに術後1日目より機械刺激に対する痛覚閾値の低下が生じ、機械刺激に対する痛覚閾値は両群で差がなかった。しかしながら、非傷害側ではSNIモデルに脾臓摘出術を加えた群ではSNIモデル単独群と比較し、機械刺激に対する痛覚閾値が低下していることがわかった。そのため、この非傷害側における痛覚閾値の変化のメカニズムを調査するため、免疫組織染色を行っている。現在、Iba-1やCD11bなどの免疫組織染色を行っているが、再現性を検討しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は「SNIモデルに脾臓摘出術を加えた場合、SNIモデル単独群と比較し、傷害側の痛覚閾値の低下が抑制される」という仮説に基づき開始された。しかしながら、SNIモデルに脾臓摘出術を加えると、SNIモデル単独群と比較し、”非”傷害側の機械刺激に対する痛覚閾値が低下した。傷害側の痛覚閾値はSNIモデルに脾臓摘出術を加えた群と、SNIモデル単独群では差がなかった。そのため研究計画は大きく変更を余儀なくされ、そのメカニズムを解明するため、まずは免疫組織染色を行い、脊髄における単球系細胞について解析を行っている。Iba-1陽性細胞の集積に違いが見られるが、その再現性の確認に時間がかかっている。また単球系細胞の他の表面抗原についても調査を行っているが、未だ結果が得られていない。
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Strategy for Future Research Activity |
SNIモデルに脾臓摘出術を加えた群とSNIモデル単独群で脊髄における単球系細胞の分布や形態学的変化を免疫組織染色により調査する。また免疫組織染色により脊髄における単球系細胞の分布がわかったのち、機械刺激の疼痛閾値の違いが非傷害側であることから非傷害側の坐骨神経内にtrans-synaptic tracerを用いた免疫組織染色を行い、脊髄内での非傷害側からの電動経路を調査する予定である。またアストロサイトが発現変化とSNIモデルに脾臓摘出術を加えた場合の痛覚閾値の変化との関係についても調査していきたい。
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Causes of Carryover |
研究仮説がSNIモデルに脾臓摘出術を加えることでSNIモデル単独群と比較し、傷害側の痛覚閾値の低下が抑制されるとしていたが、行動解析法による機械刺激に対する痛覚閾値の評価ではSNIモデルに脾臓摘出術を加えた群ではSNIモデル単独群と比較し、傷害側の機械刺激に対する痛覚閾値に両群間で差はなかったが、非傷害側の機械刺激に対する痛覚閾値の有意な低下が認められた。この結果のため研究計画を大きく変更し、SNIモデルに脾臓摘出術を加えることで脊髄における単球系細胞の形態学的変化や分布に変化があるかどうかを調査している。単球系細胞の表面抗原であるIba-1陽性細胞の集積に両群間で差が認められたが、その結果について再現性があるかどうかを確認しているところで時間を要している。そのため研究計画が大幅に遅れており、本年度はこれらの問題を解決する。
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