2017 Fiscal Year Research-status Report
小児期の神経障害性疼痛抵抗性に着目した新規治療標的の探索
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16K10986
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
坂井 敦 日本医科大学, 医学部, 講師 (30386156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 秀典 日本医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 大学院教授 (30221328)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 神経障害性疼痛 / 一次感覚神経 / 発達変化 / 神経炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経障害性疼痛は依然として治療に難渋する病態である。これまでに実験動物を用いた研究により効果が見られた薬物がヒトにおいて有効性を示さないことが数多く見られ、よりヒトの病態を反映する研究戦略が求められている。この点において、ヒト小児において神経障害性疼痛の発症率が低いことが疫学的に示されている。実験動物においても神経障害性疼痛は幼弱期には発症しないことから、末梢神経傷害による遺伝子発現変化と発達変化による遺伝子発現変化を一次感覚神経において比較検討してきた。この検討を通して同定した神経障害性疼痛の治療標的となる可能性が考えられる複数の遺伝子候補の発現経過や発現パターンを定量的PCR法およびin situ hybridization法により詳細に明らかにした。これらの候補遺伝子のうち、アデノ随伴ウイルスベクターを用いたshort hairpin RNAの遺伝子導入により一次感覚神経において遺伝子発現を抑制することにより神経障害性疼痛を有意に減弱する遺伝子を探索し、同定した。神経障害性疼痛における本遺伝子の分子メカニズムを明らかにするために、神経障害性疼痛を発症した動物にコントロールのAAVベクターを投与した群と本遺伝子発現を抑制し疼痛を減弱させた群において、一次感覚神経が位置する後根神経節における遺伝子発現の違いを次世代シーケンスを用いて網羅的かつ定量的に検討した。この結果をバイオインフォマティクスにより解析したところ免疫機能に関与している可能性が示され、今後詳細な検討を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
末梢神経傷害や発達変化により発現変化する遺伝子を複数同定しており、神経障害性疼痛との関連を検討している。神経炎症に関わる免疫機能との関連性が考えられる遺伝子も見出しており、計画はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに同定した遺伝子による神経障害性疼痛の病因として重要な神経炎症への影響と分子メカニズムを検討していく。また、発現変化を見出したその他の遺伝子に関しても順次神経障害性疼痛の治療標的としての可能性を検討していく。
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