2016 Fiscal Year Research-status Report
Androgen/ARシグナルの抑制によるCCL20を介した免疫寛容誘導の解明
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16K10998
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
泉 浩二 金沢大学, 医学系, 特任助教 (80646787)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝上 敦 金沢大学, 医学系, 教授 (50248580)
成本 一隆 金沢大学, 附属病院, 助教 (50645207)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 前立腺癌 / 腫瘍免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
Androgen/ARシグナルを抑制するとケモカインCCL2の分泌亢進をトリガーとして、腫瘍随伴性マクロファージが集簇するなど、免疫環境が大きく変化することが明らかとなってきた。最近ではCRPC患者においては骨髄由来サプレッサー細胞や制御性T細胞が増加しており、癌の進展に寄与しているとの報告があり、androgen/ARシグナルがこれら免疫寛容の誘導にどのような役割を果たしているのかは非常に興味深いところである。我々はこれまでの実験過程において、androgen/ARシグナルの抑制によってCCL2だけではなく、CCL20の分泌も著しく亢進することを突き止めた。CCL20は癌組織内へ制御性T細胞をリクルートする可能性があると報告されている。アンドロゲン除去療法によってAndrogen/ARシグナルを抑制することによって前立腺癌組織でCCL20分泌が亢進し制御性T細胞が集簇する可能性が示唆された。 さらに、このCCL20の供給源として骨間質細胞が重要であることが明らかとなった。骨は前立腺癌の最も転移する部位であり、骨で前立腺癌細胞が制御性T細胞の働きを通して活性化する可能性が示唆された。また、骨基質はナイーブ CD4(+) T cell から制御性T細胞への分化に必須のTGF-β1を大量に含んでおり、前立腺癌の活性を高めるには極めて都合の良い条件がそろっており、この制御性T細胞の活性化は前立腺癌細胞の転移先としての骨指向性を解明する重要な手がかりとなると考えている。今後、ARの有無によってTGF-β1やCCL20の発現の違いを解析するとともにEMT関連蛋白の発現についても明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年間の予定を100%とした場合、20%程度と考えられる。in vitroの実験の約30%が終了した段階であり、今後メカニズムを含むin vitroの実験の残りと、in vivo、ヒト組織を予定している。予定されていた実験の中では、大方の実験は順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト末梢血からflow cytometryを用いてMDSC、ナイーブ CD4(+) T cell、Tregを分離し前立腺癌細胞と共培養しARの有無によるTregへの分化誘導能やTregの活性の変化を比較する。TGF-β1・CCL20の投与の有無による分化誘導や活性の違いも比較する。 前立腺癌細胞でandrogen/ARシグナルがCCL20を制御しているメカニズムや免疫細胞でCCL20が分化や遊走を誘導するメカニズムを、シグナルの遮断などを通して明らかにする。
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Causes of Carryover |
おおむね研究は順調に進んでおり、購入を予定していた試薬や消耗品を節約することができ、その分残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ひきつづき、in vitroの実験は続けていくので、それに必要な試薬や消耗品の購入にあてる予定である。
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