2017 Fiscal Year Research-status Report
前立腺癌特異的組織標的ペプチドによる前立腺癌新規治療法の開発
Project/Area Number |
16K11001
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
河内 明宏 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (90240952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 秀人 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (00225434)
寺島 智也 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (40378485)
影山 進 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (50378452)
和田 晃典 滋賀医科大学, 医学部, 医員 (90750539)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 前立腺癌 / 組織標的ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は正常組織とは結合せず、前立腺癌細胞に特異的に結合する組織標的ペプチドを同定することで癌細胞以外の組織に毒性のない新規治療法を開発することにある。平成28年度の研究において、C57BL/6マウスにファージライブラリー(New England BioLabs)を静脈投与し、ファージ投与5分後に血液を採取、血液中に残存したファージを回収することで、マウス正常組織への親和性が低いファージを抽出した。同手技を3回行い(biopanning)、より正常組織への親和性が低いファージを選定した(negative selection)。この際に選定したファージのランダム配列部のシークエンスを行い、ランダム性を残したファージ集団であることを確認した。選定したファージを用いて同様にカニクイザルの正常組織への親和性も低いファージを抽出することが可能であった。ついで前立腺癌細胞株(LNCap,PC-3)を皮下移植した担癌マウスに上述のファージを静脈投与し、移植腫瘍を採取し、採取した腫瘍に結合したファージを回収することを4回行い、マウス、カニクイザルの正常組織とは親和性が低く、前立腺癌細胞に親和性の高いファージを得た。得られたファージのランダム配列部のシークエンスを行い、組織標的ペプチドの候補となる数種類のペプチド配列が同定できた。本年度の研究において同定したペプチド3種類を抽出し、ビオチンを付加したペプチドを作成した。同ペプチドとLNCap細胞株の結合をin vitro実験で確認し、ペプチドが細胞株と結合することを確認した。in vitroで結合力の高かったペプチド2種を用いて前立腺癌担癌マウスに作成したペプチドを静脈投与し、前立腺癌・肝・腎組織を採取、免疫染色を行った。その結果、前立腺癌組織に結合するが、肝・腎組織にはほぼ結合しないことが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度はカニクイザルを用いたbiopannningを3回行い、正常組織への親和性の低いファージを選定する予定であったが、3回施行し、成功したのは1回のみであった。カニクイザルでの複数回の施行は困難と判断し、次の手順に進んだ。 平成29年度においてはおおむね研究計画どおりに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
選定したペプチドにアポトーシス誘導ぺプチドを合成した治療ペプチドを作成し、前立腺癌担癌マウスに作成したペプチドを静脈投与および局所投与し治療実験を行う。治療効果判定を行いペプチドの効果を確認することで選定したペプチドの有効性を検証する。今後上述の研究を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
(理由) 今後治療ペプチドの合成に多額の研究資金が必要であり、次年度以降にあわせて使用する。 (使用計画) ペプチドの合成に使用する予定であり、当初予定の研究総額を使用する予定である。
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Research Products
(3 results)