2016 Fiscal Year Research-status Report
GC療法による術前化学療法の薬学的バイオマーカーを用いた個別化療法の確立
Project/Area Number |
16K11027
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
松村 永秀 和歌山県立医科大学, 医学部, 非常勤講師 (30316103)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 尿路上皮癌 / 化学療法 / 薬学的バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、化学療法前後の腫瘍に発現している薬学的バイオマーカーの動態を解析し、筋層浸潤性膀胱癌患者におけるGC療法を用いた術前化学療法における薬学的バイオマーカー候補物質の有用性を検証することである。これまで、我々は、ゲムシタビンに対する有力なバイオマーカーの候補物質としてhENT1がゲムシタビンに対する強力なpositive regulatory proteinである可能性を報告してきた。これらの知見をさらに発展させるためには、複数のバイオマーカーの発現を組み合わせて解析することが必要である。本研究初年度の平成28年度については他の有力な薬学的バイオマーカーを同定することを目的とした。我々が着目したバイオマーカーは、ゲムシタビンのバイオマーカーとしてRRM1およびシスプラチンのバイオマーカーとしてERCC 1である。 当院においてGC療法を施行した進行性膀胱癌患者の化学療法前の膀胱癌組織に発現しているRRM1とERCC1について免疫組織染色法を用いて評価し各種臨床病理学的因子との関連を解析した。本内容について下記論文に報告した。 Overexpression of ribonucleotide reductase subunit M1 protein predicts shorter survival in metastatic bladder cancer patients treated with gemcitabine-containing combination chemotherapy. Matsumura N, Nakamura Y, Kohjimoto Y, Nishizawa S, Kikkawa K, Iba A, Kodama Y, Hara I. Int J Urol. 2017 Mar; 24(3):230-235.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究初年度の達成目標は、hENT以外の有力な薬学的バイオマーカーを同定することであった。これまでの研究結果から、我々が着目したバイオマーカーの一つであるRRM1は、GC療法を施行する進行性膀胱癌患者においてnegative regulatory proteinである可能性が示唆された。hENT1とともにRRM1もゲムシタビンの効果を予測する上での有力なバイオマーカー候補物質であることを見出したことで、本研究は概ね順調に進展しているものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終的な目的は、化学療法前後の腫瘍に発現している薬学的バイオマーカーの動態を解析し、筋層浸潤性膀胱癌患者におけるGC療法を用いた術前化学療法における薬学的バイオマーカー候補物質の有用性を検証することである。これまでの後ろ向き研究で、ある程度研究成果が得られてきている。今後問題となるのは、前向き臨床研究である。 すなわち、筋層浸潤性膀胱癌患者から同意を得たのちに手術材料を用いバイオマーカー候補物質の発現を調べ抗癌剤感受性の予測を行う研究を開始する予定である。術前化学療法としてGC療法を施行した後にフォローアップを行い、近接効果、非進展生存率、疾患特異的生存率、全生存率に関する情報を収集し、バイオマーカーの発現が予後予測因子となり得るか否かにつき統計学的に多変量解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本研究の裏付け実験として当初予定していた膀胱癌細胞を用いた基礎研究の進捗状況が、予想以上に悪く、関連する試薬などの購入を差し控えたことが主たる原因であると考えている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在、裏付け研究としての基礎研究が必要か否か検証中である。必要な場合は、次年度に試薬購入などに利用する予定である。裏付け研究が不要と判断した場合は、前向き臨床研究の予算に回す計画である。
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