2016 Fiscal Year Research-status Report
TP53 signature診断法による前立腺がん個別化医療の開発
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16K11029
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
加藤 俊介 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40312657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀江 重郎 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40190243)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | TP53 / 前立腺がん / 予後予測診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
TP53 signatureとは、がん抑制遺伝子TP53の構造機能変異を予測する遺伝子発現プロファイルで33遺伝子の発現パターンで変異型(Mtタイプ)、野生型(Wtタイプ)の2群に分別する。TP53 signatureは早期乳がんの予後予測に有用であることが報告されている。一方、前立腺がんにおいては公共のアレイデータベースを用いた解析で予後予測に関する有用性が示唆されているが、検証的な研究が必要であることから、今回ラーニングコホートとバリデーションコホートを用いて研究を行っている。 1.ラーニングコホート 前立腺がん手術検体 50 検体を入手し、TP53 signatureのデータ収集を行った。その結果、TP53 signature scoreの上昇とともにPSA再発リスクが高まることを明らかにすることができた。さらにTP53 signature MtとWtを分別するカットオフ値の設定を行い、TP53 signature status (MtまたはWt)を2群に分け、Gleason Score(7または8)、T因子(pT2またはT3)との間の相関を解析したところ、これら臨床的指標とは独立した因子であることが確認できた。さらに、Gleason ScoreやT因子よりも、再発予測診断能の点で優れたバイオマーカーとなることが示唆された。 2.バリデーションコホート 順天堂大学医学部泌尿器科が保有している前立腺がん手術検体(100検体を予定)を解析することから、順天堂大学医学部倫理委員会の審査を受けてすでに承認を得ている。現在、ラーニングコホートの結果を踏まえて、バリデーションコホートの解析を開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回の研究は、Public dataを利用した解析結果から着想に至ったため、FFPE検体を用いた実症例での再現実験が必要であったが、予想通りの結果が得られたため、次の課題であるバリデーションコホートのデータ収集へ遅滞なく移行できている。 しかし検体の品質などの問題から作業が遅延する可能性もある。研究分担者はすでに 300 検体を有していることから、検体の不足が生じる可能性は低いものと思われるが、状況に応じて研究協 力施設を追加募集することも検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
順天堂大学医学部泌尿器科が保有している前立腺がん手術検体(100検体を予定)を順次解析を行っていく予定である。さらに臨床的指標に加えて分子生物学的な指標(TP53 免疫染色、シークエンス解析、Decipher Testなど)のデータを収集して予後予測能に関する性能比較も行い、コストなどの総合的な観点から体外診断薬への開発について検討する。
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Causes of Carryover |
nCounterによる解析やTP53の遺伝子構造解析を行う場合、検体をまとめて解析した方がランニングコストを下げられるため、まとまった数になるのをまって解析を行っているため、一時解析を控えているから。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
nCounterのプローブの追加購入とFFPE検体からの核酸抽出用の試薬類を購入予定である。 また検体がそろった時点でパネルを用いたTP53構造解析を行う予定である。
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