2018 Fiscal Year Research-status Report
画期的核酸デリバリーキャリアを用いたmicroRNA-145による膀胱癌治療
Project/Area Number |
16K11034
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
稲元 輝生 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (20330087)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 治人 大阪医科大学, 医学部, 教授 (40231914)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 腫瘍学 / 膀胱癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は今までmicroRNA (miR)-145がヒト膀胱癌で発現が低下していることを報告している。また、進行性膀胱癌患者の組織中のmiRNAアレイの結果、miR145が治療抵抗群の患者検体でより低下することを確認している。そこで本研究において膀胱内注入の方法でmiR-145量を回復させることで膀胱内での癌細胞の発育を抑えることを証明する。実はmiRNAは癌種によってそれぞれ低下するmiRNAのサブセットが特異的であることが知られていて、今まで感度と特異度共に30%程度しかない膀胱癌診断に用いる尿細胞診を大きく凌駕する診断マーカーとなる可能性がある。miRNAは膀胱癌を含めた泌尿器癌において発現が正常組織に比較して変質していることが示されている。個々のmiRNAは膀胱癌の発生過程においても多種の細胞内パスウェイを制御することが知られている。治療抵抗性となった膀胱癌を制御する特定のmiRNAの発現プロフォールを同定し、それらの組み合わせを用いて膀胱癌の生存を予測することを本研究で目指した。候補となるmiRNAsの検索にはアグレッシブ癌と非アグレッシブ癌の組織を3D-Gene miRNA labeling kit を用いて比較検討した(Toray, JAPAN)。生存指数モデルを作成するために、9つのmiRNAsをCancer Genome Atlas (TCGA) データベースを通して検討した[TCGA Data Portal [https://tcga data.nci.nih.gov/tcga/tcgaHome2.jsp]]。MiRNAの発現データと生存の有無、ステージ、グレードを含む84検体の膀胱癌の臨床データを検討した。カプランマイヤーとログランクテストを用いて2つのグループ間で生存比較を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
9つのmiRNAs (hsa-miR-99a-5p, hsa-miR-100-5p, hsa-miR-125b-5p, hsa-miR-145-5p, hsa-miR-4324, hsa-miR-34b-5p, hsa-miR-29c-3p, hsa-miR-135a-3p, hsa-miR-33b-3p)の発現異常がアグレッシブ癌の組織で見つかった。生存を予測するか否かを見極める為に膀胱癌のTCGA データセットを用いて生存状況と9つのmiRNAsの発現強度を84名の膀胱癌患者で検討した。その結果6つのmiRNAs (hsa-miR-99a-5p, hsa-miR-100-5p, hsa-miR-125b-5p, hsa-miR-4324, hsa-miR-34b-5p, and hsa-miR-135a-3p)上昇は高リスク癌と関わり3つのmiRNAs (hsa-miR-145-5p, hsa-miR-29c-3p, and hsa-miR-33b-3p)上昇は低リスク癌と関わっていた。高リスク癌でのmiRNAsの発現様式は低リスク癌に比較して優位に生存を予測し得た (HR = 7.05, p < 0.001)。マイクロRNAアレイを通して臨床サンプルから9つのmiRNAsの発現異常が見い出せた。 このmiRNAsの発現様式は膀胱癌患者の生存を予測することが示された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、低酸素状態に置かれた膀胱癌細胞で逆説的にmiR145を中心とした腫瘍抑制性microRNAが上昇し腫瘍細胞の増殖を抑制し、プラチナ製剤の併用が低酸素ストレスを増強させ実臨床で治療を成し得ない免疫学的チェックポイント阻害薬不応性の患者のプラチナ製剤の効果を増強させることを実験学的に目指す。
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