2016 Fiscal Year Research-status Report
アクアポリンの尿路上皮発現と病態別尿路上皮の形態的機能的変化の解析
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16K11044
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
永井 崇 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 助教 (50514353)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今村 哲也 信州大学, 医学部, 特任講師 (00467143)
石塚 修 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (20184541)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Aquaporin 3 / Uroplakin Ⅲ / 低酸素マーカー(HIF1α) |
Outline of Annual Research Achievements |
加齢によってみられる様々な病態がAquaporin(AQP)の発現および膀胱粘膜の形態や機能に及ぼす影響について、「AQP発現変化は最表層に存在するumbrella cellとその細胞膜及び細胞間のtight junctionに発現するuroplakin、urea-transporter、claudinの各蛋白の発現に影響しこれによって蓄尿障害/過活動膀胱が起こりうる」と仮説を立て、病態モデルとして28年度は自然高血圧症ラット(SHR)そのコントロール群としてfemale Wistar Kyoto rat(WKY)を用い組織の構造変化及び排尿機能への影響を評価した。その結果、AQPの発現変化とその影響について以下の結果を得た。なお、これらの結果は第105回日本泌尿器科学会総会(平成29年4月21-24日 鹿児島)にて報告した。 1) SHR群はWKY群に比べて有意に尿路上皮に低酸素マーカー(HIF1α)が発現し低酸素環境下にあることを免疫組織染色による画像解析にて確かめた。 2)AQP3及びUPⅢの発現がSHR群において優位に低下していることを免疫組織染色による画像解析にて確認した。またSHR群においては粘膜下組織に浮腫をきたしていることを確認した。 3)0.08%酢酸膀胱注入による前日処理した時の排尿機能の変化を見た実験とアデノシン3リン酸(ATP)持続膀胱注入した時の排尿機能の変化を見た実験を行い、SHR群では、いずれの実験でも排尿間隔や一回排尿量に有意な低下をきたすことを確かめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自然高血圧症モデルラット(SHR)とそのコントロールラット(WKY)を用い、SHR群はWKY群に比べて有意に尿路上皮に低酸素マーカー(Hypoxia inducible Factor 1α :HIF1α)が発現し低酸素環境下にあることを確かめた。さらに尿路上皮において、Aquaporin 3及びUroplakin Ⅲの発現がSHR群において優位に低下していることを確認した。これらの変化が蓄排尿機能へ及ぼす影響として、0.08%酢酸膀胱注入による前日処理した時の排尿機能の変化を見た実験とアデノシン3リン酸持続膀胱注入した時の排尿機能の変化を見た実験を行い、SHR群ではいずれの実験でも排尿間隔や一回排尿量に有意な低下をきたすことを確かめた。これらの結果は第105回日本泌尿器科学会総会にて報告した。以上より、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
尿路上皮のバリア機能に関与する細胞間隙にあるoccludinやclaudinなどの発現についてRT-PCR法にて解析する。また、尿路上皮に存在するUreatransporter(UT)の病態による発現の変化及びUTやAQP3を阻害することで起こる解剖学的/機能的変化を免疫組織学的に解析すること、薬剤投与実験(膀胱内圧測定)を行うことで尿路上皮のバリア機能と微小組織環境へ果たす役割について検討する。 さらに、糖尿病モデルラット(gk)とそのコントロールラット(WKY)を用いて代謝異常がもたらす膀胱組織への形態的/機能的影響についても高血圧ラットで行った実験手法を用いて解析する。
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Causes of Carryover |
研究そのものは計画通りにほぼ遂行できているが当初予定より安価に行えたことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H29年度請求額と合わせて当初の計画通りに研究を進めていく方針である。H29年度後半より糖尿病ラットを用いた実験を行う予定であるが、市販されている糖尿病ラットの単価が高いため主にこれに使用する予定である。
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