2016 Fiscal Year Research-status Report
脂肪由来再生細胞による尿失禁再生治療の作用機序と前立腺癌細胞に対する影響の検討
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16K11046
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
後藤 百万 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10186900)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 徳則 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (20182636)
舟橋 康人 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (70534824)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 再生治療 / 脂肪由来再生細胞 / 尿失禁 / 括約筋障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、申請時の研究実施計画に沿って、尿失禁モデルラットでのラットADRCs(脂肪組織由来再生細胞)傍尿道注入による尿漏出圧測定と注入ADRCsの平滑筋分化の検討を行った。 ラット皮下よりADRCsを含むSVFを採取し、コラゲナーゼ処理後、ADRCs懸濁液を作成した。ラット(10週齢)を麻酔後、腹部正中切開にて膀胱周囲および尿道を剥離し(腹圧性尿失禁モデル)、ADRCs懸濁液を尿道粘膜下に投与した(シャム手術群、PBSコントロール投与群、細胞数10万、100万、1000万生細胞数/mL各投与群)。手術後28日目に尿漏出圧(膀胱内圧)を測定した。漏出圧(cmH2O)はPBSコントロール群(n=6)28.2±3.7、細胞数10万群(n=6) 32.5±8.5、 100万群(n=6) 42.1±8.0、1000万群(n=6) 32.9±5.0で、10万群、100万群においてコントロールに対して細胞数依存的に漏出圧が上昇した。細胞数1000万群ではコントロールに対しては漏出圧が高い傾向だったが細胞依存的効果は認められず、SVF注入は尿道括約機能改善効果を示し、有効細胞数は10万から100万個と考えられた。 尿漏出圧測定実験終了後、ADRCs注入部尿道を摘出し、ADRCsの平滑筋への分化確認のため免疫染色を行った。摘出尿道のalpha-SMA(smooth muscle actin)、calponin 1、 MHC(myosin heavy chain)免疫染色により尿道筋層から粘膜下層に筋原性染色用生細胞が存在し、注入細胞の平滑筋への分化が確認された。 平成28年度の研究実施計画は尿失禁モデルラットにけるラットADRCs傍尿道注入による尿漏出圧(膀胱内圧)測定、および注入ADRCsの平滑筋分化の検討であるが、計画通りに実験を実施することができ、有用な実験結果を得ることができた
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は当初の研究実施計画に挙げた「尿失禁モデルラットにおけるラットADRCs傍尿道注入による尿漏出圧(膀胱内圧)測定、および注入ADRCsの平滑筋分化の検討」について研究を完遂することができ、予測した結果を得ることができ、ADRCsの傍尿道注入の腹圧性尿失禁に対する有効性の作用機序について、その一部を検証することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は当初の研究実施計画通りに研究を実施することができたため、今後は当初の計画通りに、平成29年度はヒトADRCsの細胞特性の検討、平成30年度は前立腺癌に対するADRCsの影響の検討を行い、医師主導治験による臨床研究成果を裏付ける基礎的研究成果として活用する。また、平成28年度の研究成果については、次年度において学会発表および論文発表を行う。
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Causes of Carryover |
初年度の研究の進捗が良好で、支障なく予定した成果を得ることができたため、研究に使用した消耗品の購入額が予想より低額におさまったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に計画している研究において適正に使用する。特に、次年度は高額な消耗品の購入が必要となる研究内容も含まれるため、その費用として使用する。
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