2017 Fiscal Year Research-status Report
脂肪由来再生細胞による尿失禁再生治療の作用機序と前立腺癌細胞に対する影響の検討
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16K11046
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
後藤 百万 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10186900)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 徳則 名古屋大学, 医学系研究科, 特任教授 (20182636)
舟橋 康人 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (70534824)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 再生治療 / 脂肪由来再生細胞 / 尿失禁 / 尿道括約筋障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、研究実施計画に沿って医師主導治験による男性腹圧性尿失禁に対するADRCs傍尿道注入治療の組み入れ患者より皮下脂肪組織を治療用とは別に100g採取し、CelutionTM(サイトリ社、サンディエゴ、米国)によりADRCsを分離し、細胞特性の検討を行った(名古屋大学医学部倫理委員会承認済)。 5例の患者から採取した脂肪組織からADRCsを分離後、細胞数及び生存率の測定、表面マーカー測定、サイトカイン分泌能測定、コロニー形成能測定及び平滑筋への分化能測定を行った。分離ADRCsは約4×106個得られ、CD31、CD34、CD44、CD45の表面マーカー発現が認められたが、Stro-1の発現はほとんど認められなかった。平滑筋分化培地培養ではαSMA、Calponin等の平滑筋マーカー発現が認められ、約1.5%の細胞がコロニーを形成した。ADRCsは様々な細胞から構成され、平滑筋への分化能があることが確認された。 さらに、3例の患者から採取したADRCs、培養脂肪幹細胞において付着細胞と浮遊細胞培養を行い、総合的に数十種類のサイトカインをマルチプレックス法で測定評価した。培養脂肪幹細胞では検出限界以下であったサイトカインがADRCsで多数検出された。また、ADRCsで有意に高く検出されているサイトカイン (IL-6, GRO, MCP-1)、有意差はないが培養脂肪幹細胞、ADRCsともに検出されたサイトカイン (EOTAXIN, FLT-3L, IL-7, INFα, RANTES, VEGF, FGF-2, Fractalkine) に分けられた。測定した41種類のサイトカインの中では、培養脂肪幹細胞で有意に高く検出されたサイトカインはなかったことからも、ADRCSは培養脂肪幹細胞と比較して有意に多彩な再生サイトカインを分泌する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は当初の研究実施計画に挙げた「ヒトADRCsの細胞特性の検討」について、治験組み入れ5症例からの脂肪採取・ADRCs抽出を行うことができ、その結果、研究を完遂し、予測した結果を得ることができた。ADRCsの傍尿道注入の腹圧性尿失禁に対する有効性の作用機序について、その一部を検証することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は当初の研究実施計画通りに研究を実施することができたため、今後は当初の計画通りに、平成30年度は前立腺癌に対するADRCsの影響の検討を行い、医師主導治験による臨床研究成果を裏付ける基礎的研究成果として活用する。また、平成29年度の研究成果については、次年度において学会発表および論文発表を行う。
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Causes of Carryover |
当該年度に購入予定の消耗品が予定より少なかったため次年度使用額が発生したが、次年度の消耗品購入費として使用し、また次年度は研究成果の学会発表もあるため、次年度の旅費として使用する。
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] 3.名古屋大学医学部附属病院におけるトランスレーショナルリサーチ支援の取組み:腹圧性尿失禁を対象とした医師主導治験の特性解析に着目して2017
Author(s)
岡部由香,清水忍, 阿部譲, 末竹幸広, 藏元典子, 谷口香織, 行方千華, 長谷川静香, 鳥山和宏, 亀井譲, 山本徳則, 後藤百万, 水野正明
Organizer
ARO協議会第5回学術集会
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