2017 Fiscal Year Research-status Report
膜融合性リポソームを用いた新規受容体SNSRアゴニスト膀胱内注入療法の確立
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16K11048
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
本田 正史 鳥取大学, 医学部, 准教授 (20362890)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武中 篤 鳥取大学, 医学部, 教授 (50368669)
齊藤 源顕 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 教授 (60273893)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 下部尿路機能 / 新規受容体 / 膀胱内圧測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、Cyclophosphamide(CYP)誘導膀胱炎ラットモデルを作製し、CYPにより誘発される膀胱過活動に対するrSNSR1 agonistの膀胱内注入の効果を検討した。雌Sprague-Dawley(SD)ラットを使用し、CYP誘発膀胱炎ラットはCYP 200mg/kgを腹腔内投与して作製した。CYP投与48時間後にウレタン麻酔下に連続膀胱内圧測定を施行。rSNSR1 agonistである、bovine adrenal medulla 8-22(BAM8-22)(300, 1000, 3000 nM)を膀胱内に持続注入し、薬剤投与前後で膀胱内圧測定の各パラメーターを測定し比較検討した。BAM8-22の膀胱内注入は、CYP誘発膀胱炎ラットモデルの排尿間隔および排尿閾値圧を容量依存的に増加させた。以上よりrSNSR1 agonistの膀胱内注入は、排尿反射を抑制し、CYPにより誘発される膀胱過活動を改善する可能性があると考えた。 しかし、次の段階である、rSNSR1 agonist封入膜融合性リポゾームの膀胱内注入の効果を確認していくためには、CYP誘導膀胱炎ラットモデルに対するrSNSR1 agonistの膀胱内注入の効果が最も得やすい投与量を十分に検討・評価しておくことが必要と考え、平成29年度は、膀胱内注入するBAM8-22の投与量を10, 30, 100, 300, 1000, 3000, 10000 nMとして、CYP投与48時間後にウレタン麻酔下に連続膀胱内圧測定を施行し、薬剤投与前後で膀胱内圧測定の各パラメーターを測定し比較検討した。その結果、10, 30, 100 nMでは、有意な膀胱内圧測定の各パラメーターの変化はみられず、3000 nMで最も効果が高い事が確認でき、今後の研究を進めていく上で、BAM8-22膀胱内注入投与量は、300, 1000, 3000 nMが適切であると考えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、ラット下部尿路機能障害におけるrSNSR1の役割を調べるため、CYP誘導膀胱炎ラットモデルを用いて実験を行った。平成28年度および平成29年度の研究により、CYP誘導膀胱炎ラットモデルに対してrSNSR1 agonistであるBAM8-22の膀胱内注入が排尿反射を抑制する可能性があることを解明した。また、BAM8-22の適切な投与量が本実験系においては、300, 1000, 3000 nMであることも解明することができた。そのため、おおむね順調に研究は進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度および平成29年度の研究結果を踏まえ、rSNSR1 agonist膀胱内注入の効果をより長期間安定して得られることを目的に、rSNSR1 agonist封入膜融合性リポゾームの作製を行う。その上で、rSNSR1 agonist封入膜融合性リポゾームの膀胱内注入がラット正常下部尿路機能に与える影響を調べる。具体的には、①rSNSR1 agonist封入膜融合性リポゾーム膀胱内注入のウレタン麻酔下連続膀胱内圧測定各パラメーターに対する効果、②rSNSR1 agonist封入膜融合性リポゾームを用いた膀胱組織切片の等尺性張力実験、③膀胱、骨盤神経節、脊髄後根神経節(L6-S1)でのrSNSR1 agonist封入膜融合性リポゾーム注入前後の発現量変化の解析を行う。
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Causes of Carryover |
消耗品として購入を予定していた試薬、ガラス・プラスチック容器などは、既に購入していた物品で実験を遂行することが可能であったため、購入を差し控えた。購入を予定していたデータ収録システムについて、既存の機種でも十分に対応可能であることが判明したため、購入を差し控えた。これらの理由により次年度使用額が生じた。 平成30年度以降の経費の主要な用途は消耗品であり、実験動物、試薬、ガラス・プラスチック容器を購入する計画である。また、学会で研究成果を公表し情報交換するために必要な出張経費、および国際学術誌での論文発表の際の諸経費として使用する予定である。
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