2017 Fiscal Year Research-status Report
神経損傷による外尿道括約筋の疲労が尿禁制に及ぼす影響の解明と治療基盤の確立
Project/Area Number |
16K11049
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
村岡 邦康 鳥取大学, 医学部附属病院, 研究員 (20346365)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武中 篤 鳥取大学, 医学部, 教授 (50368669)
本田 正史 鳥取大学, 医学部, 准教授 (20362890)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 尿禁制 / 括約筋疲労 / 生理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、海綿体神経損傷による外尿道括約筋疲労が尿禁制に及ぼす影響を包括的に解明することを目的としている。 平成29年度は、膀胱、前立腺、精嚢、直腸周囲における骨盤神経叢末梢枝の分布を組織学的に評価した。具体的には、精嚢-直腸間、膀胱-精嚢間、直腸-肛門挙筋間、前立腺後外側の各部位について、副交感神経のマーカーであるNeuronal Nitric Oxide Synthase (nNOS)とVasoactive Intestinal Polypeptide (VIP)、交感神経のマーカーであるTyrosine Hydroxylase (TH)の各抗体を用いた免疫染色を行い、各部位の骨盤神経叢末梢枝の交感神経及び副交感神経の分布および走行について組織学的に評価した。 結果として、膀胱、精嚢、前立腺、直腸の多くの神経線維は、nNOSおよびTHの両方に陽性であり、骨盤神経叢末梢枝は、nNOS陽性、VIP陽性、TH陽性の神経線維と、nNOS陽性、VIP陰性、TH陽性の神経線維に分けられ、膀胱および精嚢周囲の神経線維はVIP陰性であり、前立腺周囲の神経線維はVIP陽性であった。これらの所見は、骨盤神経叢末梢枝の膀胱、前立腺、精嚢、直腸周囲における分布の部位別差異を理解する上で重要な新しい知見であり、今後の基礎研究を行う上でも重要と考えており、海綿体神経損傷モデルの作製を行う上でも重要な知見と考えている。この組織学的知見は、現在、国際学術誌に投稿しており、査読を受けている状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度および平成29年度の研究により、骨盤神経叢末梢枝の膀胱、前立腺、精嚢、直腸周囲における分布の部位別差異に関する重要な新しい知見を得ている。これらの知見は、今後の生理学的および組織学的研究にも重要な所見であり、概ね順調に研究は進展しているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、海綿体神経損傷モデルを用いて、海綿体神経温存により尿禁制に差が出るか、また、横紋筋性括約筋疲労に差が出るかを調べる。具体的には、12週齢雄Sprague-Dawley(SD)ラットを用いて、片側および両側海綿体神経損傷モデルを作製し、このモデルを用いて、①VLPP、②SLPP、③外尿道括約筋を用いた等尺性張力実験、④外尿道括約筋の遅筋・速筋の割合の評価、⑤外尿道括約筋のMyostatinおよびFollistatin発現量の評価を行う。
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Causes of Carryover |
(理由)消耗品として購入を予定していた試薬、ガラス・プラスチック容器などは、既に購入していた物品が残っていたため、追加で購入を行う物品が予定より少なく済んだ。これにより次年度使用額が生じた。 (使用計画)平成30年度以降の経費の主要な用途は消耗品であり、実験動物、試薬、ガラス・プラスチック容器を購入する計画である。また、学会で研究成果を公表し情報交換するために必要な出張経費、および国際学術誌での論文発表の際の諸経費として使用する予定である。
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