磁気ターゲティングを用いた骨髄幹細胞移植による膀胱再生の開発

2016 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 16K11050
• Research Institution: Hiroshima University
• Principal Investigator: 井上 省吾 広島大学, 病院(医), 講師 (90457177)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 松原 昭郎 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 教授 (10239064) ; 亭島 淳 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 准教授 (20397962) ; 林 哲太郎 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 助教 (60612835) ; 神明 俊輔 広島大学, 病院(医), 病院助教 (70749936)
• Project Period (FY): 2016-04-01 – 2019-03-31
• Keywords: 再生医学

Outline of Annual Research Achievements

膀胱は再生しないため、再生医療の標的臓器として注目されているが、再生効率が低いことが課題である。骨髄間葉系幹細胞は、優れた移植幹細胞源として注目されているが、MRI 造影剤と共培養することで、簡便に磁性体化することができる。私たちは、磁性体化した骨髄間葉系幹細胞を体外から磁場でコントロールし、組織欠損部へ誘導・集積させる画期的な方法を開発した。
本研究では、日本家兎膀胱損傷モデルを用いて、磁気ターゲティングによる新規的かつ革新的な膀胱再生を確立することを目的とした。さらに、磁気ターゲティングによる膀胱再生の機序を明らかにすることで、より効率的な組織再生を追求することができる。これらを実現するために、研究計画に沿った実験を行い、下記の実績をあげることができた。
Ⅰ．磁性体化骨髄間葉系幹細胞の作成と機能解析：日本家兎に全身麻酔をかけ、腸骨稜よりヘパリン溶液の入った注射器で、骨髄液を採取した。骨髄液から骨髄間葉系幹細胞を抽出したのちに、MRI造影剤（フェルカルボトラン）と共培養することで、磁性体を幹細胞内に取り込むことができた。移植細胞源として磁性体化骨髄間葉系細胞の作成に成功した。
Ⅱ．膀胱損傷モデルに対する磁性体化幹細胞移植と磁気ターゲティング手技の確立：日本家兎に全身麻酔をかけ、経尿道的に内視鏡を挿入し、膀胱前壁にレーザー焼灼を十分に加えることで、日本家兎膀胱損傷モデルを作成した。膀胱損傷モデルに対して、磁性体化骨髄間葉系幹細胞を膀胱に移植した。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

日本家兎に対して膀胱損傷モデルの確立を試みたが、その作成に難渋したため。

Strategy for Future Research Activity

今後の研究の推進のため、機能的評価および組織学的による膀胱再生メカニズムの検証を行う必要がある。そのためには、手術後に膀胱内圧測定を施行し、膀胱機能を評価することで、再生膀胱における機能的評価を行う。また、再生膀胱の組織学的評価を、肉眼的およびH.E.染色や電子顕微鏡による組織学的評価を計画している。