2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K11060
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
松吉 ひろ子 関西学院大学, 理工学部, 助教 (10448772)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 膀胱炎 / モデル動物 / ラマン分光法 |
Outline of Annual Research Achievements |
0.4 mol/Lの塩酸を膀胱内投与して作成した急性・慢性膀胱炎モデルラット、および、生理食塩水を膀胱内投与した各対照群の摘出膀胱の粘膜側から、1本のファイバーで励起光照射とラマン散乱光検出が可能な微小ラマンプローブを用いてラマンスペクトルを測定し、各群の平均スペクトルを取得した。得られた平均スペクトルを比較すると、800-1000 cm-1、1010-1110 cm-1、1220-1350 cm-1(アミドⅢ)領域で急性・慢性対照群とそれぞれの投与群との差が顕著であり、さらに、急性対照群~慢性対照群~急性炎症群~慢性炎症群へと段階的に変化する傾向があることを示した。加えて、そのスペクトル変化は構造タンパク質(コラーゲン)の影響を示唆するものであった。得られたスペクトルから主成分分析法を応用して変量間の類似度(第一主成分のローディングプロット)を抽出し、スペクトルから予想された蛋白質、コラーゲン、ケラチンの純物質ラマンスペクトルと比較すると、コラーゲンⅠの減少とケラチンの増加がスペクトルの変化に影響する可能性があることが明らかになった。これは、各組織のヘマトキシリン・エオジン染色により示された膀胱上皮の炎症による増殖と相関のある結果である。よって、今実験で使用した微小プローブを内視鏡と組み合わせて生体に使用すれば、前処理なく、非侵襲的に生体膀胱を測定することが可能であり、診断・治療への応用が期待できる結果と言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
衛星細胞を直接刺激したときの膀胱知覚神経細胞の電気生理学的変化を明らかにすることを試みたが、衛星細胞が小さく、技術的に実験が難しかった。このため、別の方法として、衛星細胞が合成する神経栄養因子の神経細胞への影響について免疫組織学的に証明を試みたが、合成したプローブに問題があり、進歩状況は芳しくない。現在、RNAプローブ作成用のプラスミドの再合成を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
衛星細胞が生成する神経栄養因子の神経細胞への影響について、正常動物膀胱の後根神経節での神経栄養因子とその受容体の発現様式と排尿障害の原因となる膀胱炎動物のそれとをin situ hybridization法・免疫組織学手法を用いて比較することにより明らかにする。加えて、膀胱知覚神経細胞の発火を担う電位依存性カリウムチャネル(Kv)に対する神経栄養因子の作用について電気生理学的手法を用いて明らかにすることにより、衛星細胞による知覚神経調節の機序を間接的に推測する。
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Causes of Carryover |
膀胱知覚神経細胞の細胞体周囲に存在する神経膠細胞である衛星細胞の電気特性を明らかにするための実験を行ったが、細胞形態特性のため技術的に難しく、衛星細胞が生成する神経栄養因子の神経細胞への影響について免疫組織学的に証明する実験に変更した。このため、生理学実験装置の当該年度中の購入を中止した。 膀胱知覚神経細胞の発火を担う電位依存性カリウムチャネル(Kv)に対する神経栄養因子の作用について生理学実験を行う段階で機器を購入する予定である。
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