2017 Fiscal Year Research-status Report
抗CD70抗体を用いた臓器移植における次世代免疫抑制療法の開発
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16K11064
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
市丸 直嗣 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70346211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梨井 康 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 移植免疫研究室, 室長 (60321890)
高原 史郎 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (70179547)
貝森 淳哉 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (70527697)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 抗CD70抗体 / 免疫抑制療法 / 臓器移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
CD70は活性化B細胞、T細胞、樹状細胞上にだけ一時的に発現する。抗CD70抗体投与は、全身の免疫不全を誘発せず、免疫系のエフェクター細胞のみを阻害するため、選択的な免疫抑制効果が期待できる。 マウス同種異所性心臓移植モデルを作成し研究に供した。ドナーおよびレシピエントとして、雄性C57BL/6 (B6、 H-2kb)マウスをドナーとし、CBA/N (H-2kk) あるいは C3H (H-2kk)マウスをレシピエントに選択した。据置型の高倍率手術用顕微鏡を用い、顕微鏡下微細血管縫合手技にて、レシピエントマウス腹腔内の腹部大血管にドナーマウスより採取した心臓を異所性に移植した。移植心の生着確認と拒絶反応の診断は、心臓移植手術日より毎日、移植心の生着有無をレシピエントの腹部触診で確認した。また拒絶反応の確定診断は、移植心の病理組織診断(HE染色)により行った。 昨年度の報告では、対照群のマウスは移植心生着日数が中央値7日であったのに対し、抗CD70抗体治療群のマウスは移植心生着日数が中央値20日であり、抗CD70抗体投与により移植心は有意に生着延長した。抗CD70抗体投与により活性化B細胞とT細胞と樹状細胞を選択的に除去することで、マウス同種心移植モデルにおいて効果的な免疫抑制作用が得られることが確認できた。 ただし、この生着延長効果は限定的であり、免疫寛容を誘導して永久生着につながる結果ではなかったため、本年度は抗CD70抗体投与に先行して心移植前に抗CD8抗体を投与するプロトコールを見出した。本モデルにおいて抗CD8抗体単独投与群では移植心生着日数の中央値は17日であった。抗CD8抗体を心移植前に投与し抗CD70抗体に併用することにより移植心生着日数の中央値は45日となり、さらに移植心は生着延長した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
抗CD70抗体単独投与ではマウス同種異所性心移植モデルにおいて、対照群と比較して限定的な移植心生着延長効果を認めたのみであったが、抗CD8抗体を心移植手術前に先行投与して併用することにより更なる生着延長効果を確認しえた。 ヒト臓器移植の実臨床では2-4種の免疫抑制薬多剤併用療法が主流であることもあり、既存免疫抑制薬と異なるメカニズムをもつ抗CD70抗体を併用することにより、従来の免疫抑制療法と比較しさらに拒絶反応が効果的に抑制できる可能性があると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
拒絶反応抑制メカニズムの解明、すでにヒトでの実臨床で用いられているエベロリムスなどの既存免疫抑制薬との併用療法、投与タイミングと投与量のさらなる最適化を予定している。
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Causes of Carryover |
研究の遂行上、次年度への繰り越しが必要であったため。
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