2016 Fiscal Year Research-status Report
無精子症の責任遺伝子の検索-重症組織型での網羅的遺伝子解析-
Project/Area Number |
16K11068
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
城戸 康宏 獨協医科大学, 医学部, 助教 (30534797)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アンドロロジー / 無精子症 / 精子形成 / 遺伝子 / 次世代シークエンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,染色体異常など遺伝的な素因の強い疾患群であると考えられている一方で,その原因の30%は原因不明とされる非閉塞性無精子症(以下,NOA)を引き起こす責任遺伝子もしくは疾患感受性遺伝子を解明することである.現在までの所,非特異的な疾患であるNOAの責任遺伝子を効率よく解明することは,次世代シークエンザー等の網羅的かつ高度な遺伝子解析技術を持ってしても,世界的に十分な成果は得られていない. そこで,本研究ではNOA患者の精巣病理で,sertoli cell only(以下,SCO)やmaturation arrest(以下,MA)といった最重症組織型を持つ患者群で責任遺伝子の解析を行うこととした. 本研究において,数名に対し当院の次世代シークエンサーMiSeqを用いた網羅的遺伝子解析を行ったところ,数百以上の疾患と関連するか否か不明な遺伝子変異を認めた. 網羅的遺伝子解析を行う際にはこのunknown variantを,除外していく作業が必要となるが,現時点で認められた数百以上の遺伝子変異を一つずつ関係性を解明していくことは困難である. よって,今後も次世代シークエンサーでの網羅的遺伝子解析を行うとともに,精子形成に関する既知責任遺伝子および疾患感受性遺伝子に関して,単一遺伝子解析を行いスクリーニングを行っている. また,次世代シークエンサーによる網羅的遺伝子解析で多くの業績を報告している横浜市立大学 松本教授や,次世代シークエンサー提供元イルミナ社にも協力頂き,これら疾患との関連が不明な遺伝子変異に関して,現在解析を進めているところである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次世代シークエンサーと併行して,単一遺伝子解析によるスクリーニングを開始しており,本研究は概ね順調に経過していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
NOAと関連があるか不明のunknown variantを可能な限り除外するために,患者群の選定をより明確にしていく必要があると考えられ,当院泌尿器科岡田教授とともに泌尿器科学・臨床遺伝学の両面から考察と今後の計画を随時進めていく予定である. また,次世代シークエンサーと併行して,単一遺伝子解析によるスクリーニングを開始しており,プライマーやその他試薬および研究解析用の専用PCが今後必要となってくる.これらの支出は,次世代シークエンサーの試薬が期限3ヶ月および9検体で80万円程度と慎重な発注を行う必要があるために,本研究をより円滑に進めるために必須な支出であると考えられる.
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Causes of Carryover |
次世代シークエンサーによる解析を行う際に,イルミナ社から機器の説明等を複数回にわたって研究代表者および共同研究室の研究員と複数銘の予定を調整する必要があり,これら講習時期の設定に時間を要した.また,次世代シークエンサーの運用を行っていた所,機器に故障が発生し解析データが得られない状況となった.このため,当初の支出計画にずれが生じ,残高が発生した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次世代シークエンサーの機器修理の時期は機器使用ができなかったが,この解析不能となった検体は残量が十分にあったために解析を行うことができ,また,試薬も同量の補填が行われたために,解析可能であった. これら解析および修繕などに時間を要し,次世代シークエンサー用の試薬購入が遅れたために残額が生じている.この残額は,慎重な患者選定を行った後に,今後の次世代シークエンサー試薬購入に充当する.
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