2018 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of regulatory T cell function and gene expression for clinical implementation of transplantation tolerance induction
Project/Area Number |
16K11071
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
田邉 一成 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (80188359)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 同種異系キメラ誘導 / 心臓移植 / 免疫寛容 / タクロリムス / エベロリムス / 制御性T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
α-ガラクトシルセラミド・リポソーム製剤(Lipo-aGC)と抗CD40リガンド(CD40L)抗体を用いた同種異系マウスキメラ誘導モデル(レシピエント:BALB/c、ドナー:C57BL/6 (B6))において、免疫抑制剤を併用しない群(対照群)、5 mg/kg/dayタクロリムス併用群(TAC群)、及び1 mg/kg/dayエベロリムス併用群(EVL群)より骨髄移植7日後及び28日後の脾臓細胞を採取した。また、拒絶モデル群として放射線照射及び骨髄移植のみを行ったマウスから脾臓細胞を採取した。これらの脾臓細胞を放射線照射後のB6ドナー由来抗原提示細胞と共培養し、混合リンパ球反応試験を行った。7日後のリンパ球増殖率は、拒絶モデル群に比して、対照群、TAC群、EVL群のいずれも低く、また3群間で差はなかった。28日後ではTAC群のみ拒絶モデル群と同等のリンパ球増殖率を示した。 各群の制御性T細胞(Treg)の免疫調節機能を評価するため、骨髄移植7日後の脾臓細胞からTregを採取し、CD3/CD28刺激BALB/c由来Tリンパ球と4日間共培養した。対照群及びEVL群より採取したTregはともにTリンパ球増殖を抑制したが、TAC群のTregはそのような増殖抑制作用を示さなかった。昨年度、TACを併用することでLipo-aGCと抗CD40L抗体を用いて誘導した同種異系キメラが長期的には破綻することを明らかにしたが、この破綻の原因としてはTregの免疫抑制能の低下が関与することが考えられた。これに対してEVL併用はTreg機能に影響せず、同種異系キメラを長期的に維持できたと考えられた。以上の研究成果を論文としてまとめた。 本研究は、既存の免疫抑制剤と本免疫寛容誘導プロトコールの相互作用を明らかにし、適切な臨床プロトコールの検討に役立つ情報を得ることができたと考えられる。
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