2016 Fiscal Year Research-status Report
NKG2DシステムによるuNK細胞制御と胎盤形成の検討
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16K11076
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大塚 紀幸 北海道大学, 医学研究院, 助教 (00447046)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | NKG2D / 胎盤 / uNK細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
胎盤において認められるNKG2Dリガンド発現の意義を解析するため、NKG2D阻害抗体投与モデルとNKG2D欠損マウスを用いて胎盤形成の組織学的評価、遺伝子発現、サイトカイン発現の検討を施行している。 これらのマウスでは一貫して、妊娠初期から中期にかけての胎盤サイズが小さく、後期胎盤において胎盤の構築に不整が認められた。しかしながら、妊娠末期において胎児サイズに著変は見られなかった。組織学的な解析を進めることにより、トロホブラストの子宮脱落膜血管壁への浸潤が誘導され、血管リモデリングが顕著であることが明らかになった。これによって、胎盤サイズ(血管床)の減少にも関わらず、胎児発育が代償されているものと考えられた。また、胎盤における炎症性サイトカインの発現に変動がみられたことから、NKG2Dシステムの胎盤形成への関与のメカニズムの一端が、in vivoレベルで明らかになりつつある。 本研究課題の主題である、NKG2DリガンドをツールとしてuNK細胞を調節し、胎盤形成に介入することを目的として、トロホブラスト細胞株への同遺伝子の導入と共に、可溶型NKG2Dリガンドの分離生成の準備を行っている。また、次年度以降のin vitro実験系での確認に繋げるため、BALB/c背景のNKG2D欠損マウスの作製が必要となってくる。これに用いるために、NKG2D欠損マウスのBALB/cマウスとのバッククロスによる系統樹立を開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今回の解析の主手段として用いるNKG2D欠損マウスの飼育動物実験施設において、感染事象発生があり、その余波を受けて、感染拡大予防のため全頭殺処分が行われた。このため、実験に必要な動物モデルの作成に必要な個体数を得るため、再度コロニーを形成するのに時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
実験動物確保に時間を要している現状があるものの、当初の研究予定であるin vitroでの実験系を優先的に施行することによって、本課題1年目に得られた研究成果を発展させていく方針である。 具体的には、NKG2Dシステムを介したサイトカイン産生調節によってトロホブラストの浸潤と血管のリモデリングが影響を受けると考えられることから、この調節メカニズムを詳細に検討する。さらに、in vivoでの研究系が再度軌道に乗った段階で、NKG2Dシステムへの介入により、胎盤形成を調整できる可能性について検討を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
特に、実験動物飼育費用について、最終的な年度末の請求額が予定額より若干下回ったため、差額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の実験遂行に必要な物品費の一部としてあてる予定である。
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