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2017 Fiscal Year Research-status Report

妊娠高血圧症候群の病態解明をめざして

Research Project

Project/Area Number 16K11085
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

佐藤 幸保  京都大学, 医学研究科, 非常勤講師 (00508236)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 鶴山 竜昭  京都大学, 医学研究科, 特定教授 (00303842)
伊藤 美幸  京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (00760951)
堀江 昭史  京都大学, 医学研究科, 講師 (30535836)
谷 洋彦  京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (70615252)
Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
Keywords妊娠高血圧症候群 / 胎児発育不全 / 絨毛外トロホブラスト / 血管リモデリング
Outline of Annual Research Achievements

まず、プロテオミクス法による血管内EVTマーカーの抽出であるが、昨年計画したとおりパラフィン切片を変更し凍結切片を用いて試みたが、包埋剤によるアーチファクトと標本の経年変化と考えられる発現プロファイルの変動を認めた。これに対して、入手が容易な人工妊娠中絶の絨毛組織検体を用いた包埋剤によるアーチファクトの抽出、および経年変化については新しい標本の数を増やして対応しているところである。
次に、絨毛組織の器官培養から分離したEVTを用いて、新たなEVT細胞株を樹立する試みであるが、マウスのトロホブラスト幹細胞に必須とされるfibroblast growth factor 4など様々なサイトカイン/成長因子を添加して分離EVTを培養したが、細胞株の樹立には至らなかった。この間に東北大学の研究グループよりヒトのトロホブラストの幹細胞が樹立された。今後はこの細胞の供与をうけ、EVT特性を維持したまま増殖するEVT幹細胞の樹立を行い、さらに血管内EVTへの分化を促す因子について検討しようと考えている。
さらに、上記の研究に並行して、血管内EVTにおけるCD59(補体制御因子)の検討も進めている。今年度は、器官培養から分離したEVTにおけるCD59発現を制御する因子について検討したところ、TGF-βがCD59発現を増強させる主要な因子であることがわかった。以上の結果より、血管内EVTは母体血液内で血小板由来のTGF-βを利用することでCD59を獲得し母体の補体免疫機構を回避している可能性を提唱し、現在論文を投稿中である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

上記のように、プロテオミクス法を用いたタンパク質解析は、凍結切片を用いて行っているところである。問題点に関しては、現在対応策を立案し解決する方向に向かっている。さらに、新たなEVT細胞株を樹立するという目的においては、種々の因子を添加することで分離EVTを長期的に培養することは可能であったが、EVT細胞株の樹立までには至っておらず、この点では遅れていると判断できる。しかしながら、東北大学より樹立されたトロホブラスト幹細胞が、特定の培養方法でHLA-Gを発現するEVT様細胞に分化するところまではわかっており、この細胞を様々な環境下で培養することで新たなEVT細胞株の樹立ができると考えている。また、EVTが増殖する分化の初期段階であるcell columnにおいて、EVTは表面抗原であるintegrin alpha 5やfibroblast growth factor receptor 2 (FGFR2)などを特異的に発現しており、これらをマーカーとして増殖能を有するEVT細胞株であることを担保する予定である。加えて、併行して研究しているCD59は血管内EVT(eEVT)の一つのマーカーであると考えている。EVT細胞株においてCD59発現が増強した状態を血管内EVTモデルとし、今後の実験に使用できるか検討することも考えている。プロテオミクス法により血管内EVTマーカーが抽出された後に、これらの細胞や実験モデルを用いて機能実験が行えるよう、併行して実験を行う予定である。以上を総合して、我々の研究の評価区分を「やや遅れている」とした。

Strategy for Future Research Activity

本研究の流れは、1) 妊娠初期の着床部位切片において、cell column内にある分化初期段階のcell column内のEVT(cEVT)と血管内EVT(eEVT)のタンパク質発現プロファイルをプロテオミクス法にて比較することで「eEVTマーカー」を抽出する、2) eEVTマーカーの発現を妊娠中期の正常胎盤と胎児発育不全および妊娠高血圧症候群女性由来の胎盤(FGR/PIH胎盤)とで比較することで「FGR/PIH関連分子」を抽出する、3) 新しく樹立したEVT細胞株を用いて母体血管リモデリングにおけるFGR/PIH関連分子の役割を解明する、4) FGR/PIH発症を早期に予知できる母体血中マーカーを見出す、である。
今後の方針として、妊娠初期のヒト着床部位の凍結切片を用いて、レーザーで切り出したcEVTとeEVTに対してプロテオミクス法を用いて蛋白質の発現プロファイルを比較し、eEVTマーカーを抽出する。先にも述べたが、包埋剤によるアーチファクトと標本の経年変化と考えられる発現プロファイルの変動といった問題はあるが、解決策を講じている最中である。また、東北大学よりトロホブラスト幹細胞の供与をうけ、まずはHLA-Gを発現するEVT様細胞へ分化させる。このEVT様細胞が、cEVT、eEVTないしは脱落膜を浸潤する間質EVT(iEVT)のいずれの分化段階であるのか、それぞれの特異的なマーカーを用いて詳細に検討する予定である。さらに、それぞれのEVTへ特異的に分化させる培養条件についても検討をする予定である。抽出された「eEVTマーカー」および新たなEVT細胞株を用いて、計画書に準じて、母体血管リモデリングの分子機構の解明を行い、ひいてはFGR/PIH発症を早期に予知できる母体血中マーカーの開発につなげたいと考えている。

Causes of Carryover

(理由)当該金額では必要試薬の購入が難しく、次年度予算と併せて購入予定として繰越した。
(使用計画)次年度予算と併せて試薬代に充当する。

  • Research Products

    (8 results)

All 2018 2017

All Journal Article (6 results) (of which Peer Reviewed: 4 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] がん・生殖医療ネットワーク:京都府における試み Oncofertility Network: Trial in Kyoto Prefecture2018

    • Author(s)
      堀江 昭史、谷 洋彦、北脇 佳美、寒河江 悠介、奥宮 明日香、上田 匡、古武 陽子、伊藤 美幸、近藤 英治、馬場 長、万代 昌紀
    • Journal Title

      生殖医療学会誌

      Volume: 1 Pages: 35-39

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Planned vaginal delivery versus planned cesarean delivery in cases of low-lying placenta.2017

    • Author(s)
      Taga, A. Sato, Y. Sakae, C. Satake, Y. Emoto, I. Maruyama, S. Mise, H. Kim, T.
    • Journal Title

      J Matern Fetal Neonatal Med

      Volume: 30 Pages: 618-622

    • DOI

      10.1080/14767058.2016.1181168

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Fetal death following idarubicin treatment for acute promyelocytic leukemia in pregnancy-A case report2017

    • Author(s)
      Maruyama, S. Sato, Y. Moriuchi, K. Kanbayashi, S. Ri, Y. Taga, A. Emoto, I. Kim, T.
    • Journal Title

      Eur J Obstet Gynecol Reprod Biol

      Volume: 印刷中 Pages: 印刷中

    • DOI

      10.1016/j.ejogrb.2017.09.024

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Introduction of management protocol for early-onset severe pre-eclampsia2017

    • Author(s)
      Sakae, C. Sato, Y. Kanbayashi, S. Taga, A. Emoto, I. Maruyama, S. Mise, H. Kim, T.
    • Journal Title

      J Obstet Gynaecol Res

      Volume: 43 Pages: 644-652

    • DOI

      10.1111/jog.13265

  • [Journal Article] Do All Cases of Vasa Previa Need Cesarean Delivery? A case Report and Review of the Literatures2017

    • Author(s)
      Taga, A. Sato, Y. Sakae, C. Satake, Y. Emoto, I. Maruyama, S. Kim, T.
    • Journal Title

      Int J Pregn & Chi Birth

      Volume: 2 Pages: 37-42

    • DOI

      10.15406/ipcb.2017.02.00037

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Positive vaginal culture at rescue cerclage predicts subsequent preterm delivery2017

    • Author(s)
      Kanbayashi Shota、Sato Yukiyasu、Taga Atsuko、Satake Yumiko、Emoto Ikuko、Maruyama Shunsuke、Kim Tomoko
    • Journal Title

      The Journal of Maternal-Fetal & Neonatal Medicine

      Volume: 31 Pages: 1161~1165

    • DOI

      10.1080/14767058.2017.1311313

  • [Presentation] Regulatory mechanism of CD59 expression on human extravillous trophoblast2017

    • Author(s)
      Masashi Ueda
    • Organizer
      69th Annual Congress of the Japan Society of Obstetrics and Gynecology (International Session)
  • [Presentation] 血管内EVTにおけるCD59の発現制御機構の解明2017

    • Author(s)
      上田 匡
    • Organizer
      第25回日本胎盤学会学術集会

URL: 

Published: 2018-12-17  

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