2016 Fiscal Year Research-status Report
細胞融合抑制タンパク:サプレシンのノックアウトマウス作製
Project/Area Number |
16K11097
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
杉本 潤 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10315476)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | サプレシン / 細胞融合抑制 / ノックアウトマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞融合を抑制するタンパク;サプレシンと胎盤形成の関係を明らかにするには、ノックアウトマウスを用いたin vivoでの解析が必要不可欠である。このため、ヒトサプレシンに類似なマウスサプレシン遺伝子を単離し、ノックアウトマウスの作製を遂行した。 初年度はマウスゲノム中に存在が示唆される、細胞融合抑制遺伝子(マウスサプレシン)の単離・同定を試みた。しかし、ヒトサプレシンに相当するマウス遺伝子の単離の難しさは、配列が種を超えて保存されていないことである。(サプレシン遺伝子配列は霊長類のみ,マウスには存在しない)このことから単純に遺伝子配列からその相同遺伝子を見いだせる単一遺伝子とは方法が異なる。マウスゲノム中の内在性レトロウイルス配列の中からサプレシン遺伝子とは配列レベルでの相同性はないが、同じ細胞融合抑制能をもつ遺伝子配列(タンパク)を単離しなければならない。このため、マウスサプレシン遺伝子の単離・同定の効率的な方法として、胎盤に高発現するレトロウイルス配列を包括的に検証できる次世代シークエンサー(RNAseq)解析を行い、候補遺伝子の単離を行った。 初年度は、データベース上に登録されているマウス胎盤由来RNAseq解析結果を検証した。この結果、胎盤で発現する複数の内在性レトロウイルス由来配列が同定された。これらの配列を解析し、タンパクをコードすると期待される配列を候補遺伝子として、細胞融合抑制効果を検証した。4つの候補遺伝子のうち1つ(仮称:C11)に融合抑制効果が確認されたことから、このマウス由来レトロウイルス配列が候補マウスサプレシンであると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
マウス胎盤由来RNAseq解析結果より、内在性レトロウイルス由来の配列に着目した候補遺伝子の抽出を行い、タンパク質をコードしていると思われる4つのウイルス由来配列を見いだした。これら候補遺伝子をクローニングし、機能解析を行った結果、4つのうちひとつに細胞融合抑制効果が認められた。このことから、この新規マウスレトロウイルス由来遺伝子配列(仮称:C11)は、マウスサプレシンであることが予想された。現在、この遺伝子配列をノックアウトしたマウスを作製中である。 本研究費助成により、3年を予定していたノックアウトマウスの作製が2年目で達成される可能性があることから、当初より進展がはやいと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、ノックアウトマウス作製のため、CRISPR/Cas9による遺伝子改変マウスの作製を筑波大学との共同研究により遂行中である。この共同研究により、目的遺伝子をノックインーノックアウトされたファウンダーマウスが作製される予定である。その後、このマウスを用いて、両アレルをノックアウトしたマウスサプレシン改変マウスを作製予定である。このノックアウトマウスの詳細な解析により、細胞融合抑制タンパクの新しい知見が得られると考えられる。
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Causes of Carryover |
本年度の研究が計画よりも進展が早かったことから、試薬の購入に余裕ができた。しかし、研究計画が早まったことから、次年度の予算が足りなくなることが予想され、出来る限り次年度使用が可能なように配慮した。このことから、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、予算が限られていることから、前年度の繰り越しを試薬購入に利用したい。
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Research Products
(1 results)