2016 Fiscal Year Research-status Report
ヒト卵子形成および胚発生における卵胞液中・血中脂肪酸の影響
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16K11098
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
銘苅 桂子 琉球大学, 医学部附属病院, 講師 (30444912)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
屋 宏典 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 教授 (10177165)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 多価不飽和脂肪酸 / 体外受精・胚移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
多価不飽和脂肪酸は必須脂肪酸であり、卵子の核成熟から胚発育までのエネルギー源として利用されることから、卵胞液中濃度は卵子・胚の質の指標となる可能性がある。本研究はIVF- ETにおける受精や胚の質と卵胞液内の多価不飽和脂肪酸濃度との関連について明らかにすることを目的とした。本研究に文書同意の得られたIVF-ET適応症例を対象とした。採卵日に血清と卵胞液内の多価脂肪酸分画(17脂肪酸)をGas-chromatograph法により測定した。卵胞液は、主席卵胞から順に6個の卵胞からそれぞれに2mlずつ採取した。卵胞ごとに、脂肪酸濃度と受精の成否・胚の質との関連を解析した。良好胚はVeeck分類の G2以上、Gardner分類の3BB以上とした。本研究は本学臨床研究倫理審査委員会の承認を得た。受精卵の得られた卵胞液と未受精卵であった卵胞液を比較するとn-6系多価不飽和脂肪酸であるリノール酸は228.7µg/mlと247.6µg/ml(p=0.03)、アラキドン酸は73.8µg/mlと80.9µg/ml(p=0.03)で、有意に前者で低値を示した。同様にn-3系多価不飽和脂肪酸であるリノレン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)もそれぞれ有意差をもって受精卵の得られた卵胞液において低値を示した。胚の質に関しては、卵胞液中濃度に有意差を示したものはなかった。多価不飽和脂肪酸の卵胞液濃度は血中濃度よりも低値であり、リノール酸、アラキドン酸、リノレン酸、EPA、ドコサペンタエン酸、DHAにおいては未受精卵であったものより受精卵の得られた卵胞液で有意に低値であることから、これら脂肪酸は受精過程においてより多く消費され、重要な役割を果たしていることが推察される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
症例数の追加が不十分である。また、他大学との共同研究を開始の予定であるが、まだ十分な連携がとれていない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
症例の追加を行う。受精と脂肪酸値の関連に加え、今後は妊娠との関連を検討する。他大学との連携をとり、測定方法の妥当性や評価方法について重ねて検討する。
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Causes of Carryover |
国際学会での発表予定であったが、抄録が次年度の学会に採用された。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に国際学会での発表のための旅費を計上する予定である。
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