2016 Fiscal Year Research-status Report
新規子宮内膜症モデルの作成と内膜症の発症および進展メカニズムの解明
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16K11108
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
升田 博隆 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (80317198)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 哲夫 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (10209702)
内田 浩 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (90286534)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 子宮内膜症 / 磁気ビーズ / モデルマウス / イメージングシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
レンチウィルスによる遺伝子導入にて、非機能性神経成長因子受容体(ΔNGFR)、ルシフェラーゼ(CBR)、緑色蛍光蛋白質(EGFP)を同時に発現するヒト子宮内膜腺細胞株を作成した。フローサイトメトリーを用いてEGFPとΔNGFRの発現解析およびEGFPを発現する細胞の分取を行った。培養増殖した分取細胞に対して抗ΔNGFR磁気ビーズによる分離を行い、ΔNGFR発現細胞におけるCBRとEGFPの発現を確認した。そこで、磁気ビーズ付着細胞の磁石による集積を培養系にて試みた。次に、磁気ビーズ付着細胞を重度免疫不全マウスの腹腔内に移植し(磁気ビーズ純化群)、同時に腹壁皮下に小型協力磁石を挿入することで腹腔内の移植細胞の集積を試み2日後に磁石を除去した。腹壁への磁石挿入のない群、遺伝子導入や磁気ビーズ使用のない細胞を移植した群をコントロール群とした。磁気ビーズ純化群ではヒト子宮内膜間質細胞株を同時投与した群も作成した。各群を体内発光イメージング(in vivo BLI)にて経時的にモニタリングした。 フローサイトメトリー解析では、遺伝子導入を試みた多くの細胞でEGFPとΔNGFRが同時に発現していた。また、磁気ビーズにより分取・増殖されたΔNGFR発現細胞はCBRとEGFPを共に発現し遺伝子導入に成功していた。培養系における磁気ビーズ付着細胞の磁石による集積も可能であった。磁気ビーズ付着細胞の腹腔内移植実験では、コントロール群においては移植細胞の生着部位が固定せず経時的な定量化は困難であったが、磁気ビーズ純化群に磁石を使用したマウスでは磁石挿入部に一致して細胞が集積しており、in vivo BLIによる非侵襲的経時的な定量的評価が可能であった。また、ヒト子宮内膜間質細胞株同時投与群では、移植7ヶ月後まで生着細胞のin vivo BLIによる評価が可能であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実績概要に示した通り、遺伝子導入した細胞株と磁性体により内膜症腹膜病変モデルを作成し、in vivo BLIにて非侵襲的経時的にリアルタイム定量化が可能なシステムの開発に成功した。細胞生着部における内膜症腹膜病変の模倣が可能となれば、細胞株を用いた本モデルは安定供給可能であり、内膜症腹膜病変に対する優れたin vivo研究ツールになり得ると考えられる。これは平成28年度中に中心的に行われるべき計画であり、実験としてはほぼ終了している。 また、平成28年度中に行うべきもう一つの実験計画として、「子宮内膜幹細胞の上皮性・間葉性変化の解析」については、現在進行中であるが、並行して行っている子宮内膜症病変における上皮間葉転換の解析についても実験が進行中であり、おおむね順調と言えると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、平成28年の課題であった「子宮内膜幹細胞の上皮性・間葉性変化の解析」についての研究完了を目指すと同時に、当初の計画には入っていなかった「子宮内膜症病変における上皮間葉転換の解析」についての研究終了も計画しており、平成29年度中に英文科学誌に投稿・掲載を予定している。 その上で、本来平成29年度の計画として掲げていた「子宮内膜症における子宮内膜幹細胞の役割の解析」についても行っていく予定である。しかし、平成29年度に遂行予定であった「in vivo幹細胞assay系を用いたモデル病変における内膜幹細胞の動態」については、繰り越しにする可能性がある。
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Causes of Carryover |
未使用額の発生は効率的な物品調達を行った結果である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
適宜必要な消耗品等に充てていく。
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Research Products
(18 results)